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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
19章 レベルアップと北の聖域

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1169/1169

第1169話 ミネルバ滞在②代表

 食事をする部屋へ案内される。

 いささか目つきの鋭い、肌の浅黒い年配の方たちが床に座り込んでいた。


 街の壁に背をあずけ休んでいた人や、すれ違った人の肌の色は、浅黒い人と普通の肌色の割合が半々ぐらいだった。

 部屋に集まっていたのは浅黒い肌の人たちが多い。ひとりだけ部屋の中でもすっぽりとローブを着込んでいる人は肌が白い。そして若い。30代にはなってないんじゃないかな。その人だけ浮いて見えた。


 獣の毛皮が剥いだそのままの形で敷かれていて、わたしたちのために用意してくれたみたい。他国の人は地べたに座ったりしないのだろうからと、クッションがわりだと勧められる。


 一番年配に見える人が、自分が国の代表だと言った。

 敬っているのは自然。我々はその中で生かさせてもらっている。今までも世界議会への参加など誘われてきたが、そんな気はないし余裕もない。ドラゴンのことも興味はない。なぜなら今生きていくことで手一杯だから、と。

 この大陸で人が住めるような環境の場所は限られている。毒の沼とか、吹雪く風で一瞬で凍りつく森もあり、砂漠が一番住みやすいところだそうだ。水場のあるところに人が集まり部族を作る。小さな水場だと枯れることもあるので移動する。少数の部族が結構あるけれど、把握はしていない。部族の中で人が増え、永住を決める者たちが多くなると国とするそうだ。


 この間コンタクトを取ってきたというアネリストのことは知っていた。挨拶に来たそうだ。異質で、かの国は力を欲していると思えたという。そのような国が使節団と結びつき力を得たら、王都の水源を狙われることになる。そうなったらどれだけの者が酷い扱いを受け、このオアシスを追われることになるかわからない。それを避けるため、自分たちが使節団の窓口になったんだとおっしゃった。


 ドラゴンちゃんたちはなぜかひたすら鳴き声をあげていた。膝の上のもふさまも、なんとなくローブの人を気にしている気がする。

 どうしよう。なんとなく気になる。鑑定したいけど、この部屋、魔法を使えない仕掛けがしてあるんだよなー。


 我らは力を得るつもりもないし、ドラゴンにも興味がない。魔物だって住み着けないような地なのだからと言った。だから一番怖いのは人、なのだと。自分だけの利益を考えられる人こそが恐ろしく、だから今回の使節団は受け入れるが、それ以上に親しくするつもりもない。この荒れた地を欲しがったり、手助けをして得ることは何もないと思うが、どこかに肩入れするようなことがある時は、その陰でオアシスを追われるものが出てくることを胸においてくれとそこまでを一気に言った。


 これだけドラゴンちゃんたちが騒いでるのに、集中力すごいな、とわたしはそんなことを思った。


 アダムは自分が使節団の代表だと言った。

 そして忌憚なく打ち明けてくれたことに感謝をし、自分たちもドラゴンと親しくなったことで、何かを企んでいるとか、誰かから何かされたと仕組まれるような軋轢を生みたいくないから各地を回っているだけで、友好的だと示しに来ただけと告げた。ドラゴンの赤ちゃんと親しくなりはしたものの、だからって何ができるわけでもないし、なんの力もない団体なんだと言って彼らを安心させた。

 ただ、今まで第六大陸、第五大陸、そしてこの第四大陸を訪れ、大陸によって本当に気候も文化も違うと驚いたのだと語った。それは聞くだけでは決してわからないことでもあり、訪れる事ができてよかったと語った。

 その本音は届いたようだ。


「他大陸の人からするとこの大陸は住みにくいだろう。でも、それでもそれが我らの愛すべき暮らす大地なのだ」


 と代表の王さまは言った。

 その言葉にはジーンときてしまった。

 そうだよね。郷に入れば郷に従え。それはその土地に暮らす人に敬意を込めて、道理的にしてきたけれど。

 それだけじゃなくて、そこに住んでいる人は、場所は違えど同じように大地を愛し、そこで暮らしている。それ丸ごと受け入れる事が郷に従うってことなんだな。

 厳しいながらも、この地を愛している人たち。

 街の外で愛想がないと思ったのも、外では体力を削らないようにするため。

 会談の時間が短いのも配慮だ。すぐに寝る場所を用意して、私たちを労ってくれた。


「水が少なく、温度の差が激しい。植物は育たず、獣も少ない。けれど、この砂地でなら人でも生きていけるのだ」


 と彼らは胸を張った。


「厳しい地だからこそ、工夫して生きてこられたんですね」


 とアダムは感心したように言った。

 活動するのは朝と夕方だと聞いた。朝と夜でどんなことをするのか、アダムは興味があると言った。

 ダニエルも敬意を示しながら、どんな生活をしているのかを聞いていって、意外にも話は弾んだ。


 そのうち食事が配られた。

 大切なお水を一杯ずつ。果物? でも食事に出てくるのだから野菜かな? 半透明のこんにゃくのお刺身みたいなもの。

 細い小さな里芋みたいなもの。木の実。そして何か獣のお肉。

 これ、大奮発なんじゃないだろうか。


 彼らの代表だと言った王さまが、食前の感謝の言葉を述べた。

 両方の親指を絡ませて祈る。

 わたしたちは固まる。

 だってその所作は……。


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