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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
19章 レベルアップと北の聖域

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1168/1169

第1168話 ミネルバ滞在①厳しい地

 第四大陸ミネルバ。情報のほとんどない地。

 大陸名と同じミネルバという国の王都が今回の会談場所。

 第四大陸には国も少ないし、他部族との交流もほぼないそうだ。

 それも納得できる。砂漠のように砂の山しか見えない、そういう地に見えたから。これは移動が大変そう。隣街でも気軽に行けるようなところではない。行き来しないのは当然のことだと思えた。


 転移でついたところが砂漠のど真ん中かと思えるところで、つまり周りに何も、本当に砂の山しか見えなかった。一歩踏み出すと本当に砂地で、転移の場所は一応何が違う素材で作られたようだ。ここが転移してくる場所で間違いなかったんだろう。ここで合っているの?と疑ってしまうほど、本当に何もない場所だった。


 生成色のローブを頭から被った人たちが陰鬱にお辞儀をし、何も言わず人数分のローブを押しつけてきた。そこまで3分は経ってないと思うんだけど、もう口の中はカラカラになる。


 世界議会から教えてもらったことによると、日中は干からびると思えるほど暑く、夜は外で寝たら間違いなく凍死するという。

 寒暖差が激しく、その温度差に耐えられる動物、植物などは少なく。ゆえに食べるものが少ないそうだ。そして1年の3分の1は暗黒カーテンと呼ばれる、恐らくオーロラが天を覆い、暗い中で過ごすことになる。とにかく人族が生きるのには厳しい環境の地だ。


 どの大陸も使節団の相手となる大国はドラゴン自体にあまり興味がないようだ。

 使節団はイザークとダニエルがメンバーチェンジ。ノエルはカードさんと一緒に調印式の明日、連れてきてもらうことにしてあった。

 そうしておいてよかった。

 なんかね、この大陸はとても暗いイメージがつきまとう。日の光にカンカンに照らされていても。失礼だけど一泊でよかったと思っちゃった。


 でもきっとこれが、大地が割れた時にそこにいた聖霊が少ないってことなんだ。

 ユオブリアは本当に恵まれていたんだと実感した。

 厳しい環境で暮らしていると、人は疲弊していくのだろうと、案内人たちを見ていて思う。

 あの留学生、アネリストの人が一般的に見えたので、第四大陸もそう変わらないと思っていたのがガラガラと崩れる。ちなみに留学してきた王子の国、アネリストは小国らしい。


 案内人は、愛想をどこかに置いてきたような人たちのみ。

 社交性のあるダニエルが会話を繋げようとするんだけど、手強い。苦戦している。カタコトの共用語だ。だからかなとも思う。だって今までも他大陸とも交流がそうあったわけではない。それなのに共用語をカタコトであってもマスターしているのがすごいことだ。

 でも話さないのが正解かも。口を開けると風が吹いた時に砂が口の中に入ってくる。

 5分も歩かないうちに、身体中の水分がもう残り少ないと感じる。

 赤ちゃんたちはみんなのローブの中にそれぞれ潜り込んでいた。正解だ。

 被るのは暑いけど、日差しから身を守るためにローブが必要になるんだ。

 歩きづらいわけじゃないけど、体力を奪っていく砂地。

 街の中に入ってやっと安心できた。


 多分15分以上は歩いてないんだけどね。

 転移の場からひと山越えた時に、砂と同じ色の壁が見えた。

 街との境をぐるりと壁が囲んでいる。人は生成色のローブを頭から被りその壁に背を預け座り込んでいた。


「この街は、朝と夕方しか動かないのです」


 案内人が教えてくれる。

 なるほど。それは理にかなっている。

 だってこの暑さ、動いたらすぐへばってしまう。

 口の中の粘膜が張りついてしまって話しにくい。そんな暑さがあることをわたしは知らなかった。


 岩の中をくり抜いたようなお城。そこに入る前にコップ一杯の飲み物をもらった。薄めたミルクみたいでおいしいものではないんだけど、体が欲していたのを感じる。

 みんな一気に飲み干していた。

 もふさまにもくれて、赤ちゃんたち用にもくれたので、お皿に入れた。

 みんな頭を突きつけてピチャピチャ飲んでいる。


 疲れただろうからと部屋で休むことを勧められる。夕方から食事会となり、それが歓迎会を兼ねるそうだ。気温差に耐えられないだろうとわたしたちを気遣ってくれてのことのようだ。


 部屋へと案内される。みんな一緒の部屋らしい。

 部屋っていうか、ドアはない。丸っこいドアの形の入り口がぽっかり空いていて、丸見えだ。プライバシーなんてここでは鳥の羽より軽いのかも知れない。

 お国事情でいろいろあるものだと納得というか、理解した。

 部屋にはハンモックがいくつも設置されていて。

 わたしたちは珍しいそれに乗ってみた。不安定なような。だけど、だから安心できるような変な気持ち。わたしはもふさまを抱きしめながら岩の天井を不思議な気持ちで見ていた。と、うとうとして眠ってしまったようだ。


 食事の前に人が呼びにきてくれて。わたしたちは揃って寝てしまったことを謝った。けれど、初めてきた人はみんなそうなると、初めてニコリと笑ってくれた。


 世界議会の人から聞いてはいたんだけど、水が貴重なので風呂はナシと言われている。外を歩くと強い風は吹いていないのに、髪にも砂が入っているのを感じる。

 布団にくるまったらそんな砂が気になるだろうから、ハンモックで眠るのも理に叶っているなと思った。


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― 新着の感想 ―
過酷だなー聖霊がいなかったことでこんな過酷な環境になるなら聖霊信仰どころか神への信仰者も少なそう。 神がいてもこの環境なわけだし。僅かな恵みを神の慈悲として敬えるかその逆かの極端なことになりそうな。 …
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