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プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
18章 権威に群がる者たちの輪舞曲
1113/1127

第1113話 Mother⑬守護者の仲裁

『要約すると、人族のいざこざでドラゴンの赤子を預かったリディアが、種族のわかった赤子を親元に返してやろうとしているのだな?』


 みんなの話を聞いて、フレデリカさまがまとめた。

 わたしたちがうなずくと、フレデリカさまは満足そうに続ける。


『銀龍は赤子がリディアから離れないため、そのまま預けることにした。他の赤子の稲妻ドラゴンの住処なら知っているから案内してきた』


『その通りです』


 ガルゴが相槌を打つ。


『稲妻ドラゴンは話を聞いている最中に赤子を〝聖歌〟で攻撃しているのかと思い、リディアに攻撃をしようとした』


『はい、その通りです』


『馬鹿者が! 聖なる力で魔物が〝攻撃〟されればただではすまない。ましてや赤子なら尚更だ。攻撃されてあんなに元気で、そして懐くわけなかろうが』


『はい、その通りです。さっきは〝聖歌〟と聞いてカッとなり』


『ところがリディアはマルシェドラゴンの加護を受けていた。普通の加護なら魔法陣の障壁で弾き飛ばすぐらいだが、同種の攻撃だったことにより、ホルク自身が召喚されたというわけだな』


『その通りだ、空を守護する神の遣いよ』


 ホルクが答える。

 そっか、ホルクの加護はこんなふうに現れるのね。後から詳しく聞いたところ、ホルクが召喚されるのは一般的ではないそうだ。普通の加護はこんなふうに働かない。それに魔法陣の障壁が出るのは、わたしがかなりダメージを受けそうな物理攻撃や魔法攻撃から出るものだし、同種からの攻撃(格下の場合のみ)には召喚されるとはホルクも知らなかったことのようだ。

 急に召喚されて驚いたみたいだけど、すぐに魔法の攻撃を防いだんだから、すごい。


『話はわかった。リディア、聖歌を聞いてみたい。歌ってくれる?』


 そうわたしに言った時は普通のクジャクサイズになっていた。


 稲妻ドラゴンを安心させるためにもと思って、歌を歌う。

 わたしにしがみついている赤ちゃんたちがうとうとしだした。


『ほう、これが聖歌か、なるほどな』


 とフレデリカさまはうなずいている。


『マロンよ、リディアの聖歌がどんなものかわかったろう。それで何か言うことがあるのではないか?』


 しょぼくれたマロンが、ますます項垂うなだれる。


『早とちりしたようだ。攻撃してすまなかった』


『マロンはカッとなりやすいんだ。我からも謝る。それを知っていたのに止められなくてすまなかった』


 ガルゴも謝ってくる。

 それを見て、マロンはもっとしょぼくれながらホルクに言った。


『ホルクのおかげで、赤子の恩人に傷をつけなくて済んだ、感謝する』


『感謝を受け入れる』


 これで稲妻ドラゴンとマルシェドラゴンは仲直りしたようだ。


『ではこれから、稲妻ドラゴンとしてはどう決着づけるのだ?』


 ドラゴンと並ぶとずっと小さい、普通のクジャクサイズのフレデリカさまが促す。


『と言われますと?』


『赤子のことだ。リディアは攫ってなどおらず保護して育てていたようだが、その恩人を同じ人族だからと何かするつもりか?』


『い、いえ。育て方は違いますが、うちの種族でも赤子が育たないのは銀龍のところと同じです。卵はなんとか毎年生まれていますが、赤子が育ったのは一番最近が50年前になります』


 追放者が卵を産むってのは珍しいパターンらしいけど、普通巣の中で生まれた卵は一族みんなで大事に育てていくらしい。新米の親だけだとカバーできないこともあるので、子供を育てたことのあるドラゴンたちも参加して育てるということだ。けれどそれが育ったのも50年前が最後とのこと。

 エリンとノエルが言ってたことを思い出す。


ーー多くの魔物と同じで、生まれてすぐ死ぬ運命だった


 それは強さの象徴のようなドラゴンでも同じなようだ。


『赤子も懐き、そして元気に見えます。銀龍と同じく我ら一族の一員だとわかるようになるまで、預かっていただきたい』


 マロンがわたしへと視線を合わせる。

 命あるものをお預かりする以上、命をかけて守るつもりだ。


「お預かりいたします」


 わたしは目を見て、しっかりと約束をした。


 わかっていることだけど、預ける胸のうちを垣間見れば、その責任はもっと重たいものだとのしかかってくる。頭が傾ぐほどに重たい。

 って、実際頭によじ登ってる子がいるんだけどさ。

 こらこら、頭はやめれ。

 掴んで肩に戻す。稲妻ドラゴンだった。ピィカピカとご機嫌だ。


 君のお話だよ、わかってる? わかってないだろうな?

 嬉しそうにわたしに向かって、ピカピカ言ってお話ししてくる。何を思って何を言ってるかわからないけど。


『あい、わかった。さすれば、あとはブラックとグロウィングとクリスタルだったな?』


 え?


『また話すごとに騒動になると厄介だ。我の目の前で話し合うとよろしい』


 と、フレデリカさまはその場で羽を広げバッサバッサと揺らした。

 その風で3つの竜巻ができた。


『ブラック、グロウィング、クリスタル、それぞれドラゴンの族長を連れてこい。空の守護者の目の前に』


 竜巻がお辞儀をするようにして腰を折ってから、バビューンとそれぞれ散って行った。


 レオとホルクはそうでもないけれど、ガルゴとマロンはフレデリカさまにビクついている。分け方が微妙だと思うんだけど、レオは海に属するから海の守護者さま、聖なる海の護り手さまに絶対服従となるようだ。

 ガルゴとマロンとホルクは空の守護者であるフレデリカさまと空の聖なる護り手さまに弱いというか、強く出られないそうだ。

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― 新着の感想 ―
こんな短気で族長やってけるのか… どの種族でも卵が孵って育つのが稀なら、今回全ての子を無事育てきれて、その話がドラゴン族に広まったらそのうちリディアに卵を預けに来るドラゴンもいそう。 仲介は無理っ…
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