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プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
18章 権威に群がる者たちの輪舞曲
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第1100話 駒にされた子供たち⑱引き金

 処遇はリノさまに任せることには変わりないけど、第四夫人はいったい何がしたいのかっ!?


 占星術が好きな人なら、ウチの兄妹のネイタルチャートが変わっていて興味を持つのは百歩譲ってわかる。

 わたしの出生図は学園の占星術の先生でも読解を間違えた。

 人族以上の寿命の経験値を持たないと、わたしの出生図は読み解くのが難しいみたい。オババさまだからわかったみたいだものね、わたしが薄幸なわけではないと。変わっているのは確かだろう。


 第四夫人はエリンのネイタルチャートを面白いと思っていた。

 素晴らしいとかならわかるけど〝面白い〟という理由で自分の息子の嫁にしたいもの? 凶星まで持つとわかっているのに? 

 あ、アラ兄たちのは的外れだからエリンたちもそうだと思ったとか。わたしのも面白いだけでハズレてると思ってる、とか?

 でも特にわたしのネイタルの運が悪すぎて、王族の有り余るパワーを緩和させるって思ってるような言い方だった。そう思っている方があり得そうじゃない? 


 でもそれなら誰のところに? だって元々はバンプー殿下を王太子にしたくて、その条件にあたる婚約者が必要なんじゃないの? そのためにエリンを迎えたかったんじゃないの? それとも、わたしなのか? まさかね。

 でもわたしを排除しようとしてたんだから、やっぱり王族に嫁いでくるなーってことのような気がするので、いまいちわからない。

 考えても埒が明かない。いいや、今は考えるのやめよう。どんなに考えても、わかる気がしない。



 城に向かった時にあった襲撃は、スタンガンくんから漏れたはずだ。

 わたしがお城に向かうことは、生徒会メンバーとガラットーニくんとスタンガンくんしか知らないことだから。

 ウチから誰の手先だったのか連絡がないから、口を割らせるのに時間がかかっているみたいだ。

 けれど、あの単細胞のスタンガンくんが、バレたのになんでもない顔をよくできたものだ。よく乗り切ったな。ん? ひょっとして、自分が情報を漏らしていることを気づいてないとか? そんなことある??

 ……ヒントを出すと自分で答えを導いていたから頭は悪くないんだろう……でも考えが深そうではなかった。まさか、本当に分からずやってるとか!?

 それとも、スタンガンくんは本当に情報を漏らしていない? 馬車襲撃も偶然なのかしら?


「アダムはその場にいたの?」


 もふさまに聞いてもらえば、一緒にいたという。


「スタンガンくん、嘘はついてなさそう?」


 アダムは彫刻のような顔で一瞬悩む。


「最初はきょとんとしていたな。裏切り者と聞いても、そんなわけあるかって顔して。誓約書にサインしたじゃないですかと言ってた。だから裏切り者も何かの間違いでは?とね」


 いかにも言いそう。

 けど、あの単純な子が演技なんかできるかね?

 でもスタンガンくんから漏れてると思うんだけどな。っていうか利用されている気がするんだよなー。

 自発的に情報を伝えているのか、そうでないのかで彼への対処は違ってくる。


「リディア嬢はスタンガンをどうするつもり?」


 わたしは少し考える。

 自発的に覚悟を持って伝えているなら、これくらいの脅しでいいかと思った。

 きっと彼らは、顔色を悪くして、黒幕に頼りにいくと思った。

 黒幕のためにしていることは、同時に即席の仲間を裏切っていることを自覚していると思っていた。


 でもそれを自覚していない、またはそれくらいでは悪いことと思っていない、か。もしくは情報を引き出されても気づかない残念具合なら、もうちょっと痛い目に遭った方がいいかもしれない。もっと大きなことに巻き込まれて、とんでもない罪を犯す前に。


「そうねぇ。引き金になってもらいましょうか」


「チャンスをあげるんじゃなかったの?」


 アダムは少し意地の悪い笑みを浮かべる。


「チャンスはガラットーニくんしか受け取らなかったみたいね」


 ああ、そういうことかとアダムはうなずいた。


 懺悔するチャンスだった。

 スタンガンくんが本当に関与していなかったら、終わってから謝る。

 けれどやっぱりスタンガンくんは誰かに情報を提供している気がするから。


「スタンガンを使って何をする?」


「……その前に。わたしはここでお役御免になっちゃったわけだけどさ、どれくらいこもっていることになるだろう?」


「反応が出るまで待つつもりだけど、長くはないだろう。第二夫人の実家が動いたんだろう?」


 クロフォード侯爵のことだ。ロサに確かめに来たってことはそういうことになる。


「他もすぐ動きがあるだろう。動きがなくても学期末の試験まではひっぱらないよ。君に試験を受けさせないわけにはいかないからね」


「それなら、試験直前かわたしが表に出る直前に、わたしの居場所をスタンガンくんに知らせましょう」


 アダムはため息をついた。


「やっぱり、君、スタンガンを気に入ってるんじゃないか」


「え? どの辺が?」


 スタンガンくんと黒幕をひっかける罠だから、スタンガンくんはわたしたちからも黒幕からも裏切ったなと思われることで、かなりひどいことをすると思うんだけど。それがどうして〝気に入ってる〟になるんだろう?


「あいつは少しきついくらいの目に遭わないと、気づけないみたいだからな。

 気づかせるためにやるんだろ?」


 アダムはちょっとわたしをいい人に思いすぎだ。

 今、もふさまに通訳してもらえるけど、言葉の壁が高いといえば高いので、そのままにしとくけどさ。


 ロイター嬢については保留。城へ行く途中の襲撃、それと第四夫人からの接触しかなかったからね。

 彼女はなんだかただ怪しかっただけかな?

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― 新着の感想 ―
スタンガンは自覚なしか〜婚約者が怪しいと予想。 ロイター嬢は一番でかい爆弾な気がするなあ…尊敬する人も謎だし。
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