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プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
18章 権威に群がる者たちの輪舞曲
1099/1129

第1099話 駒にされた子供たち⑰出生図

 総じて、わからないという結果が出た。もふもふたちのヒアリング終了。

 ものの数分で、わたしのここにいる存在意義がなくなってしまった!

 幼体も卵もどうするんだ、これ……。

 もふさまの頭の上から並んだドラゴンたちを見て、こっそりため息を落とす。



「……奴隷の子たちはどうなったの?」


 もふさまがアダムに通訳してくれた。


「何者かわからないから城に入れることはできない。神殿で手厚く介護を受けているはずだ」


「話はできたの?」


「衰弱からは脱したみたいだけど、怯えていて話せるような状態ではないみたいだ」


 そっちもこれ以上進められないね。あとできることはなんだっけ?


「あ、スタンガンくんと、ガラットーニくんと、ロイター嬢は? 反応あった?」


「君の指示通り、ひとりずつ呼び出して、話が漏れているようだって僕たちが話し合っているのを聞かせた……」


 問い詰めるのではなく、あえて聞かせるのがポイントだ。

 そして「誰だ?」と鋭い声を上げる。

 廊下で聞いてしまった子に「なんだ、君か」と瞳を和ませて。「聞いてしまったか?」と尋ねる。

 3人とも「聞いてません」と答えたようだけど、それを無視して続ける。「聞いてないんならいいんだ。どうやら裏切り者がいるみたいだ。それをこれから確かめないとね。このことは他言無用だよ」

 そう伝える。裏切り者だったら、バレたと焦るはず。そして指示を仰ぐはず。

 そう見越していた。それで確証を得ようと思った。


 ところが、そこで焦ったのはガラットーニくんただひとりだったそうだ。

 彼は顔色を悪くしていた。そして他言無用と言われてコクっとうなずいたそうだけど、その30分後自首してきたそうだ。


「自首!?」


「第四夫人から家門を通して、試験に関係していることは全て報告するように言われたらしい。第四夫人から家門を通して言われたことには逆らえなかったって」


 ガラットーニくんはここでリタイヤすると言ったそうだ。

 わたしは誓約魔法をしたのに、報告をできたことが不思議だった。

 そこを尋ねる。


 誓約魔法。試験の内容について話したりすることはできない。話そうとすれば体に負荷がかかる、そんな誓約だ。だから直接、試験の〇〇を調べるためにこんなことをしたとは言えない。

 それでとられたのが日記形式だそう。

 書き留めるという方法で、なんのためにどうしたと書くのではなく、単に自分のしたことの軌跡を残した。その紙を自分の席の机の中に忘れて帰る。紙の回収はまた違う試験とは関係ない子を使っていたんだろう。

 目的などを知っていて、それを読めば推測できる。


 ガラットーニ家は星見を多く輩出する家門。幼い頃からネイタルチャートを読んできた。初め、試験のことを報告するのを嫌がったそうだけど、彼はあるネイタルチャートを渡された。それは彼が今までに見たことがない星周りだった。こんな星周りで生きていくことは可能なのか?と思ったらしい。

 報告してくれたら、そのネイタルチャートが誰のものか教えるし、もっと面白いチャートも提供すると言われたそうだ。

 王族からの依頼。断ることは難しい。生きている人のチャートだと思わなかったので、そそられたのも確か。他の面白いチャートというのも気にかかり、結局彼は第四夫人の依頼を受けた。でも、やましさから、推測しにくい書き方をしていたそうだ。


 数日前、バンプー殿下がいなくなったとき。正しくはバンプー殿下が自分から乗り込んでいき、自ら軟禁状態になりに行ったとは知らなかったから、ものすごく怖くなった。それで、もう辞めるって言ったところ、その不思議なネイタルチャートの主を教えると言われる。

 ちなみに、そうじゃないかなーと思ってたんだけど、そのネイタルチャートの持ち主はわたしだった。

 そうして言ったそうだ。星見として尋ねよう。このネイタルチャートの主が生きる道を選ぶなら、それはどこだ?と。

 彼は答えた。それは王家。


 一般的に見て、わたしのネイタルチャートはとても変わっている。

 生きていけるのが不思議なくらい薄幸に見えるようだ。

 王族のネイタルチャートが出回ることはない。それは陛下と王族の星読みしか見ることのできないもの。

 ただ王家のネイタルチャートに共通するのは強運。嵐のようなパワー。そのパワーで自分や周りを傷つけることが多い。


 それを回避するためにやることは、ひとつ、名前に戒めを施す。

 人が人生で一番聞く音は自分の名前だという。音は言霊となり、星周りを変えるパワーにもなるそうだ。

 ひとつ、侍従や侍女、伴侶などの身近な者の星周りを加味して、星周りを均一に近づけるようにする。

 王族ってのはぶっちゃけ、強運だけどその力を持て余し不幸になることが多いんだとか。だからわたしぐらい悲惨な星周りは王族とめっちゃ相性がいい。どちらのためにもなるそうだ。

 第四夫人は試験のこと云々より、実はわたしの情報を得たかったのだと告白した。そしてさらに面白いといわれるネイタルチャートを見せてもらう。


 2枚はアラ兄とロビ兄のもの。これが全く本人像と一致しないらしい。貴族の誕生日は隠されるから、近い日付でやるわけだけど。いくら正しい出生図でないといっても、そこまで外れるって珍しいそうだ。

 そりゃそうだ。アラ兄とロビ兄は出生を偽っているから。

 そして真ん中のわたしは、生きているのが不思議なくらいの薄幸さ。

 そしてもっと不思議なのが下の双子。人としてあり得ないぐらいの力強さらしい。っていうか肉体が耐えられないはずの、災害のような凶星をいくつも持っているそうだ。彼はシュタイン家兄妹のネイタルチャートに興味を持ち、わたしたちを注視し、第四夫人のスパイを続けていた。


 ガラットーニくんと第四夫人のことはリノさまに任せることにしたので、このことをリノさまに伝えてもらい、リノさまの思うところで裁いてもらうことにした。

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― 新着の感想 ―
これはガラットーニくんかわいそうというか第四夫人は唆されてとか関係なく素で悪質っぽそうというか… あとバンプー殿下の失踪時も殿下のこと心配してなさそうだなぁ。 リディアが薄幸か強運かはどっちもって感…
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