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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
3章 弱さと強さと冬ごもり
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第106話 ダンジョン攻略ノート

 鞄作りを進め、飽きたら、メインルームから借りた本を読む。300年より前のものは古代語が使われているものが多い。それが〝翻訳〟のスキルがついたので、わたし古代語も読めちゃうんだよね。


 今わたしが夢中になっているのが、前マスター、魔使いさんのダンジョン攻略ノートだ。

 どこのダンジョンかわからないところがネックなんだけど、ドロップするモノとかのリストがめちゃくちゃ惹かれるのだ。

 地下2階に出るデュカート、それが落とす毛皮っていうのが、寒いときは暖かく、暑いときは涼しく、通気性はよくて、すぐに乾くみたいだし、前マスターさんはそれで寝袋みたいのを作ったりハンモックみたいのを作ったりしているんだよね。真冬もその毛皮に包まっていれば暖かいらしい。何、その夢の素材。


 ちょこちょこしたメモ書きは古代語で書いてある。それが結構すごいことが書いてあるんだ。300年前は今より魔法がもっと自由で、そしてレベルが高かった気がする。

 魔使いさんはダンジョンでラッキーマウスと遭遇し、テイムしたみたいだ。ラッキーマウスのドロップ力が半端なかった。それでこのダンジョンで素材取り放題だったみたい。

 何それ、超羨ましい!どこのダンジョンか記されていたら、もっと良かったのに!


 夕方になると、みんなが帰ってきた。

 父さまや町の人たち、もふさまが狩ってきた魔物は、町のお肉屋さんが集合し、町の人も手伝ってみんなで解体したそうだ。

 もふさまは帰ってきてからも大興奮。すっごく楽しかったらしい。

 兄さまや双子も楽しかったみたい。フォローに回れるぐらい力がついたことをとても喜んでいた。町の人たちも最初は戸惑っていたものの、果敢に向かっていって、かなりな量を仕留めたそうだ。というか、もふさまが魔物を追い立てまくり次から次へと魔物がやってきたので、感覚が麻痺したんじゃないかと。ビリー、カール、ヤスも最後の方は3人で仕留めたそうだ。すごいね。

 もふさまの動き、牧羊犬のような魔物の追い立て、そして強さに町の人たちみんな感動してたって。

 父さまが持ち帰ってきた今日解体した肉は、明日町の子供たち総出で塩漬けや燻すことになっている。


 兄さまたちにわたしは何をしていたのか聞かれて、川で石鹸を作り、帰ってきてからはリンスも作ったんだと報告した。それからお気に入りのダンジョン攻略ノートのことを話した。すると、すっごく興味を持った。どこのダンジョンかわからないの? と読み出す。普通のところは読めるけれど、古代語のところは読めないみたいだ。

 わたしがメモ書きを読むと、そのすごい情報に驚いている。

 興味を惹かれたのは大人たちもだったみたいで、真剣な面持ちで覗き込んでいた。

 わたしはデュカートの毛皮があればあったかいよね。もしいっぱいとれたら領地の人たちも暖かく過ごせるのにねと感想を伝えた。




 次の日、川原に行った。早い時間から子供たちが待機していた。挨拶を交わして、塩漬け班と燻す班に分かれて、作業に入る。時々ベアシャケを獲ったりしながら、こなしていった。

 今日は寒い。息が白く出る。わたしが一番着膨れしているから、寒いと言いにくいけど、みんなあんな薄着じゃ寒いだろうに、よく機敏に動けるな。


 みんな働き者なので、ここで最年少のわたしとミニーは手持ち無沙汰になる。頑張っているから、お昼ご飯をちょっと豪華にするか。お昼は爆弾おにぎりを作ってきた。中には3つの具を入れている。その1つはお肉の塊を甘辛く煮たものだから、満足感はあると思う。作業しているから、おにぎりぐらいがいいかなと思ったのだが。……やることがないし。

 カマドを石で作って、ロビ兄に大きな土鍋を作ってもらった。そこに洗った芋と小さい村でいただいたリンゴンを蒸し焼きにする。家宝の袋から取るふりをして、収納ポケットから塩とバターも出していく。ちょっと寒いから温まるスープも作るか。大きなお鍋でお湯を沸かし、お肉と野菜を入れていく。マイ包丁を使うと、ミニーに使ってみたいと言われて、どうぞと差し出す。ナイフより切りやすいと言ったので、お仲間だと握手した。ナイフを上手に使える人、本当に尊敬するよ。そんなこんなでやっていると、蒸し焼きのいい匂いがしてきた。


 お皿がないことに気づいて、家宝の袋から出すふりをして土魔法でお皿とスープ皿をこしらえながらだしていった。土魔法だから、まわり土じゃんって思いますでしょう?

 ふふふ。土魔法ではそうなんだけどね。

 ダンジョン攻略ノートを読んでいて、すっごいことに気づいた。

 わたしの生活魔法の6番目の属性の〝無〟。なんなんだろうってずっと思ってきたんだけど、そのまま、無属性だったのだ。〝無〟の属性ってなんだろうって思ってきたのに、〝無属性〟とは思いもしなかった。属性の欄にあるんだから、無・属性そのままなのに、なんでそう思わなかったんだろう、不思議。


 そして、無属性って何さとも思うんだけど、どうもね、前出の5つの属性に当てはまらないという大きな括りみたいなんだよね。ってことはだよ、わたしの属性はオールマイティーってことではないでしょうか? 攻略ノートには無属性の魔法があればこうできたのに、ああできたのにとメモが残っていたんだよね。それで〝無属性〟ってと気づいたのだ。


 無属性は他の属性より魔力を食う。わたしが一番最初にやってみたのは、よく前世の小説で見かけた〝クリーン〟というやつ。で、やってみたらできました。自分やもふさまにかけたのはよくわからなかったけど、窓にクリーンをかけたらピカピカになったんだ。掃除もできちゃうってことだね!


 で、今も思いついてコーティングを思い描いてみたら、お皿の表面がすべすべになった。一応これにまとめてクリーンをかけて。おお、大量だったから、結構魔力使っちゃった。でも、ま、いいや。みんなで豪華に昇格したランチを食べよう。


 芋もリンゴンも4つに割って、お皿に入れていく。スープをよそおうとすると、兄さまが飛んできた。危なっかしいみたいだ。ふと見ると、サロも近くにきていた。妹が何かやらかさないか感知する能力でもありそうだ。お兄ちゃんたちスゴイな。

 スプーンもなかったと、慌てて、同じ要領で作っていった。

 みんな集まってきて、バターを自分でとってもらいながら、ワイワイといただく。

 爆弾おにぎりは好評だ。中に具が入っていたのも驚いたみたいだが、お肉の塊があったのも嬉しいみたい。出てきたと喜んでいる。スープで体を温め、蒸し芋もハフハフしながらバターとの相性の良さを味わった。蒸しリンゴンのおいしさに驚いている。外の皮がまだ青い、熟してないのにこんなに甘いんだって。火を入れてバターといただくと、甘く感じるよね。


「もふさまは、一緒じゃないのね?」


「うん、見回り中」


「見回り?」


「あ。お散歩行った」


 なんか今日は自分のお家の方に行ってくると朝早くに行ってしまった。だから、今日も一緒にきてくれているのはアルノルトさんだ。

 夕方になり、ようやくお肉燻しが終わった。大きな村と小さな村にはエドガー兄弟が届けてくれるそうだ。

 みんなで一緒に保存食を作ってから、各自でも作ってきたみたいで、この冬はひもじくなく過ごせそうだと気分があがっていた。


 冬ごもりの間は何をするのか尋ねたら、特にすることはないようだ。けれど今年は、文字を覚えたり、計算を覚えたりしようかなと言っている。ビリーやサロたちから伝えられた、文字の歌は地味に浸透してきたようだ。


 わたしは何をするつもりなんだと聞かれたので、物をいっぱい作ったりしたいと話した。


 それから気になっていたことを聞いた。マジで冬の始まりですっごい寒いからさ、みんなの布団とか夜着とか、寒くないのかとか。

 やはり布団は布を合わせたもので、薄っぺらく寒い。夜着というか普通に着込むようだ。薪も際限なくあるわけではないので、雪が降った時にだけ家の中も凍らないように暖炉に火を入れるんだとか。雪の日以外、暖房器具なしですか。寒い時は身を寄せ合う。それに尽きるそうだ。そんなー。暖炉あっても使わないとかあるのか。

 じゃあさ、火魔法がずっと続く魔具とかあったらいいんじゃない? 暖炉に火が灯れば違うよね? コンロの大きい版か。でもあれも魔石のエネルギーを使っているから、その魔石が高いわけだよね。うーむ。なんかいい案ないかな。

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