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作者: かねこふみよ

 庭の小さな倉庫で探し物をしてから、戸を閉めようとしてふと地面を見ると、室内に蜂が一匹死んでいた。横向きになってピクリともしない。背のオレンジが鮮やかなままだった。羽もちぎれた形跡はない。玄関から箒を持ってきて、ちりとりに入れると側溝に投げた。倉庫の戸を閉めようとして変な疑問が浮かんだ。蜂はいつからこの室内にいたのだろう。自分は1週間前同じようにこの倉庫に用事があった。この一週間内に家族のだれがいつこの倉庫を開け閉めしたか確認したとしても、蜂がいつ入ったかなんて覚えているだろうか。死んだ蜂が夜中にこっそり入った、なんて怪談はない。戸を開けている時に蜂は入ったのだ。8月の、30度を悠に越す昼や25度を下回らない夜を過ごしたのだ。そして、蜂は死んだ。僕が冷やし中華やアイスを食べ、キンキンなビールを飲み、パーソナル冷風機と扇風機との合わせ技で熟睡している時、蜂は倉庫の中で――

 僕は戸を慌てて閉めると、いそいそと台所へ行き麦茶を盛大に飲んだ。



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