教室の血が汚い
チャイムは鳴り、英語の授業が始まっているがいつも通り先生が来ない。「先生呼びに行ってくるね。」そうクラスメイトに伝えて先生を呼びに教室を出た。廊下を歩いていると、他のクラスも先生が来ていない状況らしく、それぞれおしゃべりをしたり黒板に落書きをして遊んでいた。それを見た私は堪らなく遊びたくなり、他のクラスの教室に入り、黒板にハートの絵をたくさん描いて遊んでいた。頭の中には「先生を呼びに行く」という目的が完全に消えており、どのくらい経ったのかわからないが、恐らく数十分ほど黒板にハートの絵を描き続けて遊んでいたようだ。ペンで紙に描くハートの絵と違って、チョークで黒板に描くハートの絵はどれも歪で、納得いかず綺麗なハートが描けるまで諦めきれなかったのだろう。ハートの絵を描くことに飽きてきたころ、ようやく「先生を呼びに行く」という目的を思い出した。慌てて廊下に出て先生を呼びに職員室に向かおうとすると、タイミングよく階段を昇る先生と遭遇した。タイミングが良かったと思ってたのも束の間で、何故か先生は私のクラスのある教室の上の階に行こうとしていた。「あの、先生、次私のクラスで英語の授業なんですけど」そう声をかけると「あぁ、他のクラスの授業だと勘違いしていた。」と言ったが、何故かそのまま上の階に上がって行ってしまった。筋肉質で男らしく逞しい風貌をしている先生は、きっと頭の出来が残念なんだろうと私は思った。そのまま先生は上の階のどこかへ行ってしまったが、私は「先生を呼びに行く」という目的は充分に果たせたと思い、自分のクラスの教室に向かった。
廊下から自分のクラスの教室に入ろうとしたところ、驚くべき光景が目に飛び込んできた。暴力的な性格の女の子が小柄な女の子の頭を掴んで何度も何度も思い切りその子の顔面を机に叩きつけていたのだった。私はその光景を見て恐怖を感じ、逃げ出そうと思ったが「止めなければ」と思い、教室に入った。私が教室に入っても小柄な女の子は顔面を机に何度も何度も叩きつけられ、「痛い!痛い!痛い!」と悲痛な叫びを上ていた。あまりその様子はよく見えなかったが、血が周りに飛び散っており、恐らく歯が何本か欠けているのだろうなと思った。周りを見るとその女の子の周囲にはそれを座りながら面白がってニタニタと眺めている女の子数人しかおらず、他の人達はその場から離れ、立ちすくんで呆然と眺めていた。私はその暴力行為を止めることで自分になんらかの害が生じるかもしれないと思い、呆然と立ちすくんで眺めている人たちの方に向かってその光景を止めることもせず、ただ、困惑しながら眺めていた。すると間もなく女の先生が入ってきて、暴力的な性格の女の子を教室の外へと連れ出して行った。
私は、その行為を止めることができなかったこと、他の教室で遊ぶ前にもっと早く先生を呼びに行っていればこんな惨状が起きなかっただろうという自分の行動に罪悪感を抱きながらも、自分の机に飛び散った血を見て「汚いなぁ」と感じた。




