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童話短編など

笑顔の葬儀者

作者: 楓麗
掲載日:2021/08/17

 ピエロはいつでも道化を演じている。

 それがピエロという存在。人前で喜劇を繰り広げ、面白おかしくその場を和ませる。

 誰もが笑顔になれること。それが、ピエロになった誰もが思う最大の望み。



「おやおや、お嬢さん。どうして、ひとりで泣いているのかな?」



 あるピエロは少女に問いかける。なぜ、ひとりで泣いているのかと……。

 それに、少女は答える。



「かなしいから泣いてるの……ピエロさんもかなしいから泣いてるの?」


「あっはっはっは! そうだよ、僕も悲しいから泣いているんだ。お嬢さんが悲しそうに泣いているから、僕もすごく悲しいんだ!」


「わたしがかなしそうに泣いているから、ピエロさんもかなしいの?」



 少女は涙を浮かべたまま、不思議そうにピエロの顔を見上げる。

 ピエロの頬に浮かび上がるのは青いしずく。それは決して、瞳からこぼれ落ちた涙の跡ではない。

 それでもピエロは、ニコニコと少女の頭を撫でた。



「ああ、そうさ! ピエロはみんなの笑い者。お嬢さんが笑ってくれないから、僕は悲しいのさ!」


「そうなんだ……でも、ピエロさんはすごいね。泣いていても全然、かなしそうに見えないよ。わたしなんか、泣いてばかりで……」


「いいのさ、いいのさ! たくさん泣いて、泣きじゃくって、それでも最後に笑うことができたらそれでいいのさ!」



 ピエロは優しく微笑み、そして静かにしゃがみ込む。

 背の小さな少女と目線を合わせて、涙をきらめかせながらもどこからともなく花束を取り出した。



「そうだ、お嬢さんにこれを上げよう!」


「わぁあ~! すごくキレイなお花!! わたしにくれるの!?」


「もちろんさ! お嬢さんのために、僕が用意したものだからね。ぜひとも、お父さんとお母さんにも見せて上げてほしい。もちろん、お嬢さんのとっておきの笑顔もね!!」


「うんっ! ありがとう、ピエロさん!!」



 少女はピエロから花束を受け取り、満面の笑顔を浮かべる。



「さて……僕もそろそろ、みんなの所に戻るかな!」



 ピエロは一言そう呟くと、墓地へ向かう少女に背を向けた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 人を笑顔にする方法は千差万別ですよね。両親を亡くした彼女に、笑顔が戻ってよかったなと思いました。
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