笑顔の葬儀者
ピエロはいつでも道化を演じている。
それがピエロという存在。人前で喜劇を繰り広げ、面白おかしくその場を和ませる。
誰もが笑顔になれること。それが、ピエロになった誰もが思う最大の望み。
「おやおや、お嬢さん。どうして、ひとりで泣いているのかな?」
あるピエロは少女に問いかける。なぜ、ひとりで泣いているのかと……。
それに、少女は答える。
「かなしいから泣いてるの……ピエロさんもかなしいから泣いてるの?」
「あっはっはっは! そうだよ、僕も悲しいから泣いているんだ。お嬢さんが悲しそうに泣いているから、僕もすごく悲しいんだ!」
「わたしがかなしそうに泣いているから、ピエロさんもかなしいの?」
少女は涙を浮かべたまま、不思議そうにピエロの顔を見上げる。
ピエロの頬に浮かび上がるのは青い雫。それは決して、瞳からこぼれ落ちた涙の跡ではない。
それでもピエロは、ニコニコと少女の頭を撫でた。
「ああ、そうさ! ピエロはみんなの笑い者。お嬢さんが笑ってくれないから、僕は悲しいのさ!」
「そうなんだ……でも、ピエロさんはすごいね。泣いていても全然、かなしそうに見えないよ。わたしなんか、泣いてばかりで……」
「いいのさ、いいのさ! たくさん泣いて、泣きじゃくって、それでも最後に笑うことができたらそれでいいのさ!」
ピエロは優しく微笑み、そして静かにしゃがみ込む。
背の小さな少女と目線を合わせて、涙をきらめかせながらもどこからともなく花束を取り出した。
「そうだ、お嬢さんにこれを上げよう!」
「わぁあ~! すごくキレイなお花!! わたしにくれるの!?」
「もちろんさ! お嬢さんのために、僕が用意したものだからね。ぜひとも、お父さんとお母さんにも見せて上げてほしい。もちろん、お嬢さんのとっておきの笑顔もね!!」
「うんっ! ありがとう、ピエロさん!!」
少女はピエロから花束を受け取り、満面の笑顔を浮かべる。
「さて……僕もそろそろ、みんなの所に戻るかな!」
ピエロは一言そう呟くと、墓地へ向かう少女に背を向けた。




