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可愛い幼馴染みはやっぱり可愛い幼馴染みなはずでした

ブックマーク登録、評価、感想などありがとうございます。

とても嬉しいです。

 今日は休日です。

 休日はこーちゃんの家にたまに遊びに行きます。

 行こうかなぁ。


 私の部屋からこーちゃんの部屋を見るとこーちゃんは読書をしているようでした。

 こーちゃんの家へ遊びに行くことにしました。

 インターホンを鳴らしてこーちゃんが出てきます。

 こーちゃんの部屋へ行き、こーちゃんが読んでいた本を見つけました。


「家で読書をする姿を初めて見たよ」

「頭が良くなるかなぁって思ったんだ」

「続ければ漢字をたくさん覚えて頭良くなるかもね」

「そうすればヒメちゃんは僕を男の子として見てくれるの?」

「それはどうかな?」


 こーちゃんは落ち込んでいます。


「どうしてこーちゃんはそんなに変わろうとするの?」

「僕は男の子だって気付いてほしいからだよ」


 こーちゃんは真剣な顔で私に言いました。

 いつもの可愛いこーちゃんがいません。


「変わらなくていいんだよ。いつもの可愛いこーちゃんでいいじゃん。そんなこーちゃんを好きになってくれる子がいると思うよ?」

「だって僕の好きな人は変わらなきゃ好きになってくれないと思うから、、、」


 こーちゃんはうつむきました。

 可哀想なこーちゃん。

 私はこーちゃんを抱き締めました。

 こーちゃんはまた私の腕の中で暴れます。


「僕はヒメちゃんに抱き締められる為に変わるんじゃないんだよ?」

「こーちゃんはそのままでいいの。それがこーちゃんなんだから」

「ヒメちゃんは何も分かってないんだ。僕は、、、」


 こーちゃんはそう言って私の腕の中から抜け出します。


「僕は、、、」


 こーちゃんの顔つきがいつもと違って見えました。

 いつもの笑顔の可愛いこーちゃんじゃなくて、真剣な眼差しでそして苦しそうな顔で私を見ています。

 

「えっこれは僕がつけたの?」


 こーちゃんは私の腕にある引っ掻き傷を見て私の手をとり言います。


「これは昨日、エリザベスにやられちゃったの」

「痛い?」


 こーちゃんは心配そうに傷を撫でます。

 なんだろう?

 こーちゃんが撫でた所が熱くなる感覚がしました。


「ヒメちゃん? 顔が赤いけど、もしかして熱が出たの?」


 こーちゃんはそう言って私のおでこにこーちゃんのおでこを当てました。

 こーちゃんの顔が近くて顔が熱くなりました。


「ヒメちゃん。どうしたの? 熱はないみたいだけど」


 おでこを当てたまま言うこーちゃんに私はドキドキしています。

 可愛いはずのこーちゃん。

 私の弟のようなこーちゃんにどうしてドキドキしているのでしょうか?


「こっ、こーちゃんのせいよ」


 私はおでこを離して言いました。


「僕?」

「こーちゃんが可愛いからよ」

「ヒメちゃん。僕は可愛いじゃなくて格好いいがいいの」


 こーちゃんは頬を膨らましながら言います。

 いつも見ている拗ねた顔が何故かいつもと違って見えます。

 何でだろう?

 可愛くて愛しく見えるこーちゃん。


「こーちゃんは可愛い私の弟みたいなの。それは変わらないの」


 私はドキドキしすぎてそんなことを口にしました。

 それを聞いて悲しそうにするこーちゃん。

 どうしてそんなに傷ついた顔をするのでしょう?

 見たくないです。

 そんなこーちゃんを見ると心が揺れるのです。


「私、帰るね」

「待って、ヒメちゃん。少し落ち着いてよ」


 こーちゃんが部屋から出ようとする私の腕を引っ張りました。

 その力は強くて私はこーちゃんの胸へダイブしてしまいました。

 私は恥ずかしくなってこーちゃんから離れようとしたけどこーちゃんが私をギュッと抱き締めました。


「こーちゃん。離してよ」

「ダメ。ヒメちゃんが落ち着くまで離さないよ」

「こーちゃんの力に私は負けないんだから」


 そう言って私はこーちゃんの腕の中で暴れます。

 ビクともしないこーちゃんの腕は子供の頃のこーちゃんとは違いました。

 身長差もほとんど分かりません。


「諦めた?」


 大人しくなった私にこーちゃんは訊きます。


「ねぇ、こーちゃん」

「何?」

「こーちゃんってまだ脇が弱いよね?」

「えっ」


 そして私はこーちゃんが弱い脇をくすぐりました。


「あっヒメちゃん。それは卑怯だよ」


 こーちゃんはくすぐったいのか少し暴れて、バランスを崩し後ろのベッドへ倒れ込みました。

 こーちゃんの腕の中にいる私も一緒に倒れます。

 私はこーちゃんの胸に顔を打ち付けました。


「いったい。こーちゃんのバカ」


 私はそう言ってこーちゃんの胸から離れようとするとこーちゃんがまた私を抱き締めます。


「こーちゃん? 次は何?」

「ん? ヒメちゃんが可愛いからだよ」

「可愛いこーちゃんに言われても嬉しくないよ?」

「僕の可愛いとヒメちゃんの可愛いは違うよ?」

「何が違うの?」

「それは、、、」


 こーちゃんは困った顔をしています。

 違いなんてないのよ。

 こーちゃんは私より数百倍は可愛いの。


「こーちゃんは女の子のように可愛いんだから一緒にいると私が惨めになっちゃう」

「ヒメちゃん。僕は男の子だよ? ヒメちゃんは女の子なんだよ?」

「それでも私はこーちゃんのせいで嫌な思いをしたりしてるよ? だからそんなこーちゃんに可愛いって言われても嬉しくないの」

「ヒメちゃん。ごめんね」


 こーちゃんが悪い訳じゃないのに。

 こーちゃんは私に謝って悲しそうにしています。


 そして何も言えない私はこーちゃんの部屋を飛び出して家へ帰りました。

 私はバカです。

 こーちゃんを傷つけてヒドイ幼馴染みです。

 もう、こーちゃんは私を嫌いになったかもしれません。



 こーちゃんのことをたくさん考えました。

 こーちゃんには好きな子がいて、その子に男らしい所を見せたくて私から離れていくこーちゃん。

 こーちゃんの可愛い笑顔がなくなっていきます。


 そんなこーちゃんのことを考えていたら、いつの間にか休みは終わり学校が始まります。

 家を出て一人で学校へ行きます。

 視線を感じて後ろを振り向きます。


 遠くにこーちゃんが見えました。

 またこーちゃんは私の見える位置にいます。

 ヒドイことを言った私が嫌になって離れているのでしょうか?

 学校についてリンちゃんはいつものように私の髪を櫛で通します。


「ヒメちゃん。何かあったの?」

「えっ」

「顔色が悪いし、髪も少しパサパサしてる」


 リンちゃんは髪の毛で私の異変に気付きました。


「リンちゃんってすごいよね」

「私だけじゃないと思うよ」

「えっ」

虎太郎(こたろう)くんも気付いていると思うよ」

「こーちゃんが? でも何も言われなかったけどなぁ?」

「私は二階のこの教室からヒメちゃんが登校する姿を見ていたけど虎太郎(こたろう)くんはずっとヒメちゃんのことを心配そうに見てたから」

「こーちゃんが? それなら声をかけてくれればいいのに。ずっと私から見える位置にいるだけなのよ?」

「ヒメちゃんは愛されてるのよ」

「私が?」

「心配されてるのは愛されてる証拠よ」

「言ってくれなきゃ分からないよ」

「それならヒメちゃんから言えばいいんじゃない?」

「私から? 何を言うの?」

「好きだって」

「えっ」


 私は髪を櫛で通しているリンちゃんへ振り向きます。


「違うの?」

「リンちゃんはどうしてそう思うの?」

「ヒメちゃんは虎太郎(こたろう)くんを可愛いって言うけどその時のヒメちゃんったら虎太郎(こたろう)くんに負けないくらい可愛いからね」

「私が可愛いの?」

「ヒメちゃんは可愛いよ。だから虎太郎(こたろう)くんはいつも一緒にいるのよ。誰にもとられたくないからかなぁ?」


 知らない。

 そんなこと全然知りませんでした。

 リンちゃんが鈴のついたヘアピンをつけてくれて今日のヘアセットは終わりです。


 授業中にこーちゃんのことを考えます。

 ずっと小さい頃から一緒にいるこーちゃん。

 笑顔の可愛いこーちゃん。

 男の子なのに可愛いこーちゃん。

 


「ヒメちゃん。次は体育の授業だよ」


 リンちゃんに呼ばれて授業が終わっていることに気がつきました。

 急いで体操服に着替えます。

 今日はテニスの授業です。

 こーちゃんのクラスと合同です。


「あっ虎太郎(こたろう)くんがいる。やっぱり可愛いよね」


 クラスメイトが言っています。

 こーちゃんは昔からみんなに可愛いと言われます。

 本当に可愛いこーちゃん。


 こーちゃんはテニスが得意ですごく上手なのです。

 こーちゃんはみんなにラケットの使い方や立ち位置など教えます。

 この時もこーちゃんは可愛い笑顔です。


「わぁ虎太郎(こたろう)くんって格好いいよね? いつもの可愛いと違って頼もしいよね?」


 クラスメイトがこーちゃんを見ながら目をキラキラさせて言います。

 格好いい?

 こーちゃんが?


 私はこーちゃんを見ます。

 楽しそうにテニスをしているこーちゃん。

 ラケットの持ち方が分からない女の子に教えているこーちゃん。

 教える時に少しだけ触れる手にドキドキしている女の子に気付かないこーちゃん。


 私のこーちゃんだよ?

 、、、違うね。

 こーちゃんは誰のモノでもないんだ。

 でもこーちゃんの心は好きな人のモノなんだ。

 もうすぐこーちゃんは好きな人のモノになるかもしれないんだ。


 何か、、、嫌だ。


 そう思っていたら何故か私の世界が回りだしました。

 あれ?

 立っていられない。


 私はその場に座り込んでしまいました。

 私のヘアピンの鈴がリンリンと鳴りました。

 隣にいたリンちゃんが私に声をかけてくれるけれど目が回って気分が悪くて聞こえません。


「ヒメ」


 誰かに呼ばれた気がします。

 リンちゃんの声は聞こえないのにその相手の声は聞こえます。

 もう、気分が悪すぎて座っていられない。

 私は後ろに倒れそうになった所を誰かに支えられた感覚がした後、記憶はなくなりました。


「ヒメちゃん」


 小さな頃の可愛いこーちゃんが小さな頃の私に言います。

 これは夢だと思います。

 私は昔のこーちゃんと昔の私を近くで見ていても二人は気付かないからです。


「何? こーちゃん」

「ヒメちゃんはお姫様だから僕が大きくなったら守るよ」

「でもこーちゃんはお姫様みたいに可愛いよ?」

「僕は大きくなれば王子様になるんだよ」

「それなら私も大きくなったらお姫様になるんだね」

「違うよ。ヒメちゃんはもうお姫様だよ」

「私の何処がお姫様なの?」

「ヒメちゃんは僕がいなきゃダメでしょう?」

「うん。寂しいよ」

「だからヒメちゃんはお姫様だよ。王子様がいなきゃダメなんだからね」


 小さなこーちゃんはそう言ってニコニコ笑っています。

 小さな私もこーちゃんと一緒にニコニコ笑っています。

読んで頂き誠にありがとうございます。


次が最終話になります。

楽しく読んで頂けたら幸いです。


どうか最後までお付き合い下さい。

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[一言] ヒメちゃんたちって、いくつくらいですか? 可愛い男子!私の周りにはいなくてシュンです(._.)
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