97/103
97 次郎3
次郎はヤクザ社会と手を切り、それからは新たな職探しを始めていたのですが、歳が四十を過ぎていることから採用年齢で足切りにあい、これまで何度も苦い思いをしていました。
その後。
毎日のハローワーク通いが実り、次郎はなんとかある清掃会社に就職できることになりました。
「よかったわね」
妻は手を取って喜んでくれました。
三月ほどが過ぎました。
仕事にやっと慣れてきた頃、次郎は会社の人事部に呼び出されました。
「君には、今月末で辞めてもらうことになった。不況で、我が社も合理化を迫られてね」
それは一緒に働く先輩から聞いていたことでした。
近く人員整理があると……。
次郎は会社からリストラされました。
首を切られました。