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96 次郎2
組の親分の温情により、次郎は子供ができたことを機に、ヤクザの社会から抜けることができました。
ですが……。
現実は思った以上に厳しいものでした。
毎日のようにハローワークに通い、何度か会社訪問までして面接を受けたのですが、それでもなかなか仕事に就けないでいました。
やがて蓄えも底をつき、赤ん坊のミルク代にもこまるようになりました。
この日。
次郎は仕事が決まらず、ハローワークから肩を落として帰ってきました。
妻が気をつかうようにたずねます。
「あんたダメだったのね?」
「ああ、なんせもう四十だからな」
「せっかくヤクザから手を切ったのに……。やっぱり過去のことを見られるのかしら」
「いや、年齢で足切りになるんだ」




