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93 タコ太郎2
海の底にタコの夫婦がおりました。
亭主のタコ太郎は根っからのグータラです。
働きもせず、子育ての手伝いもせず、毎日毎日、巣穴の中でグニョグニョとして過ごしておりました。
ある日。
女房がこまった顔で言いました。
「あんた、どうにかしないと。もう子供の食べる物がないんだけど」
「わかったよ」
タコ太郎はしぶしぶ立ち上がると、隣に住む両親の巣穴へと向かいました。
父親をあてにします。
「オヤジ、すまないがいつものあれをくれ」
「しょうがないヤツだな」
父親は顔をしかめ、それでも自分の足を半分ほど引きちぎると、それを息子に持たせてやりました。
母親が言います。
「こまった子だねえ。いくつになっても親のスネをかじってから」