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92 蜘蛛の糸2
ある日。
お釈迦さまが蓮池の淵から地獄をご覧になりますと、そこには見覚えのある男がいました。
その男、生前は極悪人だったのですが、それでも一つだけ善いことをしていました。
蜘蛛の命を助けたのです。
お釈迦さまは男を哀れみ、蓮の葉にある蜘蛛の糸を地獄へと垂らし、男を助け出してやることにしました。
かたや、こちらは地獄。
男は自分に向かって、一本の糸が垂れてくることに気がつきました。
男はその糸をつかむと必死にのぼっていきました。
ですがそれにほかの罪人も取りついたため、糸はその重みであえなく切れてしまいました。
蜘蛛の糸を伝って極楽へ行く。
はなからそれは、まるでクモをつかむような話だったのです。




