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83 鬼封じの壺
その昔。
山から人里に降りてきては、村人から食べ物を奪っていく悪い鬼がいました。
ある日。
一人の旅の坊様がこの村を通りかかりました。
こまった村人から鬼の話を聞いた坊様は、懐から壺を出して見せ、その鬼を退治することを申し出ました。
「その鬼、必ずやこの壺に封じてやります」
数日後。
悪い鬼が村にやってきました。
お坊様は大きな鬼の前に進み出ました。
「オヌシがどんなに強かろうが、小さな豆にはなれぬだろう」
「見ておれ」
鬼がどんどん小さくなっていき、しまいには小さな豆になりました。
ここぞとばかりに、お坊様は懐から壺を取り出して唱えました。
「南無!」
豆となった鬼が壺に吸い込まれます。
「思うツボだったわい」