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78 牛太郎
この日。
牛太郎は百姓に買われ、市場からある農家に連れてこられました。
そこにはすでに仲間が一頭おりました。
その仲間は食事をすませたあとなのか、満足そうに咀嚼をしており、なにやら美味しいものを食べたみたいです。
牛太郎は仲間に声をかけました。
「はじめまして」
「やあ、よろしく」
仲間は返事をしたあとも、モグモグと口を動かし続けています。
――ここはいいものが食えるんだな。
牛太郎は情報を得ようと、そっと仲間の尻を嗅いでみました。
――ふむ?
よくわかりません。
そのスキに……。
仲間も新入りの情報を得ようと、牛太郎の尻に鼻を近づけていました。
牛太郎は聞きました。
「なにを食ったんだい?」
「くさっ!」