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77 百目童と小豆洗い婆
百目童は全身に無数の目を持っており、そのため昼間はまぶしいことから夜に現れました。
ある晩。
小豆洗い婆がいつものように小豆を洗おうと、近くの川へと出かける前、小豆とふるいを取りに納屋に入ったときでした。
隅の暗がりからふいに声がしました。
「ねえ、お婆さん」
「うん?」
小豆洗い婆が声のした方を見ると、そこには見慣れない奇妙な姿かたちの童が立っていました。
この童、体じゅうにたくさんの目がついています。
「何だ、おまえは?」
「おいらは百目童っていうんだ」
「百目童だって?」
「そうだよ。今朝、やっと付喪神になれたんだ」
「ふーん。それで何の付喪神だい?」
「ふるい」
「どうりで目だらけなわけだ」