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75 願い叶う1
少女は二つの死体を前にして震えていた。
一つは父親のもの。
もう一つは父親を殺した中年男で、少女が背後からとっさに金属バットで殴り殺したものだった。
これには以前から予兆があった。
母親が病気で他界してから、少女はこの男にずっとストーカーをされていて、それが今夜、男が家にまで押しかけてきて父親ともみ合いになり、男はついに父親をナイフで刺し殺したのだ。
少女は我に返るとひたすら泣き続けた。
そんな少女の前に神様が現れる。
「私は神だ。どうしたのじゃ、そんなに泣いて?」
「お願いです、お父さんを……」
少女は死んだ父親を生き返らせて欲しいとお願いした。
「わかったぞ」
次の瞬間。
中年男の死体がむくりと起き上がった。