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70 人魚
ある日。
山奥の村に奇妙な噂話が流れてきました。
その話を耳にした村人によりますと、その村から山を十ほど越えた海の浜辺、そこで若い娘の人魚が打ち上げられたのだといいます。
山奥の村では、その人魚が若い娘だということもあって、人魚の話でもちきりとなりました。
男たちが集まればすぐに人魚の話になります。
「おっぱいがすごくでかいんだってさ」
「それにすごいべっぴんらしいぞ」
「腰から下は桃色のうろこだってよ、うひひひ……」
「見にいってみようじゃないか」
「行こう、行こう」
男たちはこぞって山を越え、人魚が打ち上げられたという浜辺へとかけつけました。
人魚は海でおぼれた人間の婆さんでした。
話に尾ひれがついたのです。




