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68 夢叶う2
あるところにとても正直な男がおりました。
この男はいつもいつも走っていました。
勤めている会社の陸上部に所属し、そこの有力なマラソン選手だったのです。
ある夜。
男の夢の中に白いひげの老人が現れました。
「ワシは神だ。おまえは正直者なので、ひとつだけ夢を叶えてやろうと思う。金、力、女、なんでも欲しいものを言ってみるがいい」
「だったら速く走れるようにしてください。できましたら犬のような足に!」
「わかったぞ」
神様が夢から消えました。
翌朝。
男がロードワークをしてみると、夢が叶って足が速くなっていました。
その後。
男はランニングの途中、電信柱を見ると足が吸い寄せられ、さらには片足が勝手に上がるようになりました。