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66 命の重さ
今日は日曜日。
会社は久々の休みである。
残業続きでたまっていた洗濯物をかき集め、洗濯機の中に放り込み、水をジャブジャブと流し込んだ。
――そうだ、命の洗濯もしよう!
オレは仕事で疲れきっていた命を洗濯機の中に入れた。
洗濯機の槽がぐるぐるまわる。
洗濯が終わった。
オレは洗ったものカゴに入れてベランダに出た。
天気がよい。
心地よい風が吹いている。
カゴの中からまず命を取り出した。
会社勤めの束縛や疲れで汚れていた命は、洗濯ですっかりきれいになっていた。
寿命が伸びるようだ。
命をロープにかけようとしたときだった。
「あっ!」
命が風に乗ってふわふわと飛んでいく。
オレは思った。
――なんて軽いんだろう、オレの命って。