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62 妖怪作家2
一つ目小僧はショートショート作家です。
人気作家で本も順調に売れています。
この日。
出版社の担当者から彼に、原稿の催促の電話が朝から何度もあっていました。
原稿仕上げの締め切りが今日までなのです。
ですがオチがまったく浮かばず、原稿はいまだに仕上がっていませんでした。
夕方。
担当者が家までやってきました。
「先生、原稿はできあがっているでしょうか?」
「ああ、これだ」
一つ目小僧は、前に書いてボツにしていた作品を渡しました。
原稿を読んだ担当者が首をひねります。
「これ、オチがないみたいですが」
「きみ、今日は何度も電話をしてきただろ」
「はい、締め切りが迫っていますので」
「それでオチつけて書けなかったんだよ」