48/105
48 御神石
ある村に八太郎という若者がおりました。
この八太郎。
十五になっても鼻水をたらし、いつもボーッとしているものですから、村の者たちからはパー太郎と呼ばれていました。
ある日。
父親について神社にやってきた八太郎は、境内の片隅に祀られてある、握りこぶしほどの丸い石の前に連れていかれました。
それはこの神社の御神石で、手を触れるだけでご利益があるといわれていました。
父親が御神石を指さして言います。
「八太郎、こいつを手でなでるんだ」
「はあ?」
八太郎は何を思ったか、いきなり御神石をつかむと放り投げてしまいました。
御神石がゴロゴロと境内を転がります。
御神石は転がりながら思いました。
――パーには勝てんな。




