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45 蛍火
季節は初夏の頃。
蛍の群れが緑色の明かりを点滅させながら、闇夜を乱舞するさまは優雅で美しく、それは多くの地域で夏の夜の風物詩にもなっています。
この蛍。
日本ではゲンジボタルやヘイケボタルがよく知られています。
彼らは幼虫の間は水のきれいな河川に棲んでいて、その姿かたちはひどく醜いのですが、それが成虫となって陸に上がりますと、あの緑色に発光する美しい蛍となって宙を飛びまわるのです。
そんな彼らは悲しいことに、わずか十日ほどで一生を終えるという運命にあります。
その間。
繁殖活動という命をつなぐいっさいの作業をすませるのですから、成虫になってからというもの、彼らはとても忙しくなります。
尻に火がつきます。