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42 わら人形2
ここは神社の裏の淋しい森の中。
カーン、カーン。
女が髪を振り乱し、太い杉の幹に、長い釘でわら人形を打ちつけていました。
「必ず殺して、必ずよ」
その女は念を押して立ち去りました。
その直後。
わら人形に宿った怨念は、女から全財産をだましとり、殺そうとした男の元へと飛びました。
わら人形は男の部屋に立ちました。
「おまえは……」
男の目にはだました女に見えるのか、男はおびえたようにわら人形の前で土下座をしました。
「許してくれ!」
男が命乞いをします。
――こんな情けない男だとは……。
わら人形は哀れに思いましたが、それも一瞬で容赦はしませんでした。
男の首を絞めてゆきます。
――必ず殺す。
女に釘を刺されていたのです。




