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4 雨の女神
天上界には雨の女神がおります。
雨を降らせる神です。
この女神は気品があって美しく、天上界の神々にとってはあこがれの的で、多くの男の神々は自分の嫁に、また恋人にと考えていました。
この日。
久々に地上に降り立った雨の女神に、さっそく風神がすり寄ってきて声をかけました。
「なあ、雨の女神さんや、わしと一緒になってくれんかのう」
そんな風神に、雨の女神は見向きもしません。
それからも山の神、地の神、そのほか多くの神々がこぞって声をかけました。
ですがやはり、だれ一人、雨の女神の心を射ることはできませんでした。
神たちは口々に言いました。
「またふられちまったよ」
「しかたがないさ。あの女は、フルのが仕事なんだからな」