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3 ドレミ
とある家。
そこには高校生になったばかりの兄と、小学生の弟がおりました。
この日。
学校から帰った兄が、部屋でトランペットの練習を始めました。
プーピー、ブーブーとおかしな音が出ます。
部活の吹奏楽部に入部したばかりだったので、今はまだドレミを吹くのが精いっぱいだったのです。
そのトランペットの音を聞いて、弟が兄の部屋にやってきました。
「お兄ちゃん、トランペットを吹くのって、なんだかむずかしいみたいだね」
「だから練習をしてるんじやないか」
「それで、少しは吹けるようになったの?」
「ああ、これがドレミのドの音だ」
兄はトランペットに口を添え、下腹に力を入れて息を吹き込みました。
ブリッ!
「あっ、ミが出た!」