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26 災難
月明かりの夜道。
男が家路を急いでいますと、なにやら怪しげな光が道の先にふわふわと宙を漂っていました。
提灯の灯りにしては位置が高すぎます。
――なんだろう?
男は奇妙に思いながらも歩き進み、その灯りに近づいていきました。
灯りまでもう少しというところ。
「ぎゃっー」
男は悲鳴をあげ、そして尻もちをつきました。
何と光の中に大きな目玉があったのです。
光の目玉が男に向かって飛んできました。
男はあわてて立ち上がると、夜道を何度も転びながらも走り続け、ほうほうのていで我が家にたどり着きました。
女房が男を出迎え、それから傷だらけの体を見てたずねました。
「あんた、いったいどうしたんだい?」
「とんだ目にあったんだ」