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21 化け狸
ある山のふもとに化け狸が住んでいました。
この化け狸は人間をだましたり、何かほかのものに姿を変えることを得意としていました。
秋祭りの朝。
村人の一人が、祭りをする神社の近くで立派な太鼓を見つけました。
この太鼓。
実は化け狸が化けたもので、秋祭りに供えられるごちそうをいただこうというもくろみでした。
このあと化け狸の思わくどおり、太鼓は神社へと運び込まれ、村人らによって神楽殿に据えられました。
やがて神楽が始まります。
ドンドン、ドンドン。
村人がバチで太鼓を勢いよく叩いていますと、太鼓の皮が破れ、それと同時に太鼓が狸に変わりました。
腹の皮の破れた狸が大あわてで逃げてゆきます。
神様のバチが当たりました。