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2 呪い人形
男の住むマンションに宅配の箱が届けられた。
中身は着物姿の髪の長い人形、そしてそれには「呪い人形 沙耶」と書かれたメモが添えられていた。
沙耶は男が殺して山中に埋めた元恋人。
ということは、この人形は死んだ女から送り届けられたことになる。
「ぎゃっ!」
男は声をあげて大きく退いた。
人形の目がカッと見開き、赤い口が耳元まで裂けたのだ。
人形はゆっくりと立ち上がった。
男に向かって近づいてくる。
ゆっくり、ゆっくり……。
――逃げなきゃ!
男はあせった。
人形が近づいてくる。
ゆっくり、ゆっくり……。
歩みが遅い。
一歩進むのにかなり時間がかかっている。
男はそのスキに部屋を飛び出した。
そしてつぶやく。
「のろい人形だったな」