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17 イソップの斧
その昔。
イソップという名の木こりの若者がおりました。
ある日イソップは、斧で木を伐っていたのですが、つい手を滑らせてしまい、そばにあった池に大事な斧を落としてしまいました。
イソップがこまっていると池の水が波立ち、中からノコギリを手にした神様が現れました。
「オマエが落としたのはこれか?」
「いいえ、ちがいます」
神様はいったん池の中に消えると、次にカマを手に現れました。
「ではこれか?」
「ちがいます」
神様は次にクワを見せました。
「ではこれか?」
「いいえ」
「オマエは正直な男だ」
神様は池の中に消え、それからいくら待っても現れませんでした。
イソップは頭を抱え、池に向かって叫びました。
「オーノー」