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16 シッポ
天の神様のもと、その天使は悪事を働いた人間を取り調べる仕事をしていました。
この日。
天使は一人の男を呼び出しました。
その男は以前から、陰で悪事を働いているという噂の絶えない人間でした。
ですがどう調べても、天使は男の悪事の証拠をつむことができませんでした。
「あいにくだったな」
男が捨てぜりふを吐いて帰っていきます。
「くそー」
天使は悔しそうに歯ぎしりをしました。
そこへ天の神様がやってきました。
「証拠が見つからなかったのか?」
「はい、神様。ですがそのうち、ヤツのシッポをつかんでみせますよ」
天の神様が首を振って言います。
「残念だが、ワシは人間を造るとき、あいにくシッポをつけ忘れてしまってな」