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14 口裂け女
ここは夜のネオン街。
口裂け女が色香を振りまき、シナを作りながら歩いていると、そこにたまたま、妖怪仲間の吸血鬼が通りかかりました。
吸血鬼が手をあげて声をかけます。
「よう、口裂け女じゃないか」
「あら、吸血鬼の旦那さん」
「最近、ちょっと気になることを耳にしたんだが、オマエこの界隈で、人間の男どもをずいぶんタラシ込んでるんだってな」
「なあに、こうして歩いているだけで、あっちから言い寄ってくるのさ」
「ほんとかい? オマエのことだ、どうせうまくだましてんだろ」
「ウソじゃないってば。あたしみたいにいい女、どこを探したってそうはいないからね」
口裂け女がニヤリと笑います。
「オマエ、あいかわらず口がでかいな」