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13 お菊幽霊
江戸は番町皿屋敷。
この屋敷の主人は、代々の家宝として十枚の絵皿を大切にしていました。
ある日。
絵皿の一枚が行方不明となり、この屋敷に仕える腰元の一人、お菊がその犯人とされました。
お菊がいくら数えても皿は九枚しかありません。
お菊を良く思わない腰元らに、無実の罪をきせられたのです。
お菊は井戸に身を投げました。
それ以降。
「いちまーい、にまーい、さんまーい……」
夜な夜な井戸の中から、お菊の皿を数える声がするようになりました。
お菊の霊をなぐさめようと、主人は寺から坊様を呼び寄せて経をあげてもらいました。
「なんまいだー、なんまいだー」
坊様が念仏を唱えます。
井戸の底からお菊の声がしました。
「きゅうまーい」