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11 お金
ここはある神社。
本殿の真ん中に置かれた大きな賽銭箱の中、参拝客によって投げ入れられたお金たちが、先ほどから何やら話しています。
一円玉が言います。
「ボクを笑う者はボクに泣くんだよ」
五円玉が言います。
「ボクはご縁があると言われてるんだ」
十円玉が言います。
「お金の価値なら、あたしは一円玉さんの十倍よ」
五十円玉が言います。
「それならオレは五十倍だ」
百円玉が言います。
「私は百倍だ」
五百円玉が言います。
「私は五百倍だ」
千円札が言います。
「俺様は千倍」
一万円札が言います。
「ワシは一万倍」
結局のところ。
一万円札が一番えらいということで、どうやらお金たちの話は落ち着いたようです。
世の中、金がものを言います。