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おじいちゃんの臭い
あなたは幼い頃から一緒に暮らしていたおじいちゃんが大好きでした。
でもあなたには、そんなおじいちゃんのことで一つだけ嫌いなところがありました。
それはおじいちゃんの臭いです。
それで子供の頃。
おじいちゃんに抱っこされたとき、あなたはその臭いがイヤで、いつだっておじいちゃんから顔をそむけていたのです。
ところが歳をとり、おじいちゃんと同じ年齢になった今、あなたは自分にもおじいちゃんと同じイヤな臭いがすることに気がつきました。
加齢臭です。
――おじいちゃんに悪いことをしたな。
今思うに子供だったとはいえ、とてもすまないことをしていたんだと思います。
――でもなあ。
やはり今の自分の臭いがとてもイヤなのでした。