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神楽舞い2
村の夏祭り。
そこへ見物にやってきた天狗でしたが、不覚にも羽団扇の一振りで、神楽の舞台を吹き飛ばし台無しにしてしまいました。
「すまん、すまん」
天狗は茫然とする村人たちに平謝りです。
「神楽の舞台はすぐに造り直しますので。その間、天狗様は茶でも飲みながら、こちらでゆっくりお休みになっていてください」
村の長はその場をとりなし、天狗を涼しい境内の木陰に案内しました。
「冷や汗ものじゃったわい」
天狗が羽団扇をひとあおぎします。
するやいなや……。
目の前に突風が巻き起こり、そばにあった荷車に乗せてあった、神楽で使われる衣装や道具が吹き飛びました。
神楽は前回の荷の舞となってしまいました。