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100 ゲテモノ食い
林圭介の趣味はゲテモノ食いである。
常々、ゲテモノ料理専門店に通い、草木、昆虫、爬虫類、両生類、はては土まで食する。
そんなある日。
圭介は行きつけの店で若い女性と知り合った。
彼女はなかなかの美人で、しかもかなりのゲテモノ通だった。
「わたしね」
彼女が瞳を輝かせ、自分は自宅でもゲテモノ料理を作るのだと言う。
「へー、そうなんだ」
「今度、滅多に手に入らない食材で作るんだけど、よろしかったらいかが?」
「いいの?」
「もちろんよ」
「それで食材はなんなの?」
「ヒ・ミ・ツ」
彼女はお色気たっぷりに、圭介にウインクしてみせたのだった。
約束の日、圭介は彼女のマンションに行った。
その日以降……。
圭介は行方知れずである。