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10 大蛇と大百足
その昔。
大蛇と大百足が、ひとつの山を根城にしておりました。
この二匹。
同じ山に自分と似たようなヤツがいることが気にいらず、ことあるごとにいがみ合っていました。
ある日。
山のてっぺんで出遭った二匹は、山から相手を追い出そうと、ついに大喧嘩を始めました。
この争いで山の木々は次々と倒れ、その大きな音が里の村まで響き渡りました。
からみ合うこと、三分。
二匹の戦いは意外にあっさり終わりました。
大百足が大量にある手と足を使い、一方的な勝利をおさめたのです。
大蛇が山を去っていきます。
かたや山のふもとの村。
二匹の戦いを見ていた村人たちは、だれもが口々に言いました。
「大蛇は手も足も出なかったなあ」