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元剣帝、再び異世界に剣を向ける ~千年後の世界で貴族に転生したので、好き勝手やってたら家を追い出されました~  作者: 日之影ソラ
第一部

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13/25

13.作戦が開始されました

 騎士団長に案内され、作戦エリアに向う。

 もう間もなく――と言っていた割には、急ぐ様子もなく落ち着いて移動中だ。

 冒険者たちは、それぞれのジョブにあった装備を着ている。

 見た目は個性豊かで、ゾロゾロと歩く光景は仮装パーティーを彷彿させる。

 その中に俺たちもいるのだが……


「ねぇジーク様~」

「何だよユミル」

「このローブ暑苦しいー! 脱いじゃダメなの?」

「駄目に決まってるだろ。ちゃんと話聞いてたのか?」

「聞いてたけどさ~」


 ユミルは黒いローブを纏っている。

 ローブにはフードもついていて、顔もすっぽり隠せる仕様だ。

 これを彼女だけでなく、八人全員が着ている。

 周りから見たら異様な光景だ。


「な、なぁ……あれってオクトグラムだよな?」

「ん? ああ、ホントだ! っていうか何で全員真っ黒?」

「やっぱ変だよなあれ」


 事実かなり目立っている。

 元々有名になった分、視線を集めやすいようだ。

 なぜこんな格好をしているのかというと――


「文句を言わないでユミル」

「そうよ。ミゲル様もいらっしゃるみたいだもの」


 クロエとミアリスが説得している。

 この格好の理由は、一言で表すと正体を隠すためだ。

 街の冒険者にではなく、王国に人間に対して。

 さっき有名になったとか言ったけど、元々俺たちは王都で有名だった。

 主に俺の所為なのだが……そこは考えないようにしている。


「まぁバレた所で、冒険者としての活動には影響はしない……と思う。けど、あの馬鹿兄貴に知られると、余計なもめ事を起こされかねないからな」

「お兄ちゃんとアレ、仲悪いもんね」

「シトナ……アレとか言ってるけど、一応あっちも兄だからな?」

「あんな人知らない」


 という感じで、俺だけでなくシトナとも仲が悪い。

 そもそもミゲルは、亜人種に対しての偏見も強いから、彼女たちのことも快く思っていない。

 出来ることなら、あまり関わりたくない相手だ。


「とにかく! 極力目立たず、騎士団から離れて戦うぞ」

「おぉー!」


 何とも言えない決意表明に、小さく拳を突き上げる。

 モンスターの大軍勢が迫っているとは思えない緊張感だな。

 たぶんこれも、俺の所為なんだろうけど。


 

 大草原と渓谷の狭間。

 決戦の地に陣取る騎士団の列。

 即席の壁を隔てて、砲台や罠が準備されている。

 冒険者一同が到着すると、隊列の中から一人の男が前に出た。

 白銀の鎧が目にうるさくて、自己主張と自尊心の激しさを象徴しているようだと感じる。


「ミゲル殿、ただいま戻りました」

「騎士団長か。勤めご苦労だったな」


 ミゲルが冒険者たちへ視線を向ける。


「支援要請に応じてくれた冒険者の方々です」

「……そうか」


 ミゲルはわざとらしい咳ばらいをする。

 それから偉そうな顔をして、大きな声で言う。


「僕は勇者ミゲルだ! 先に断っておくが、君たち冒険者の力など本来は必要ない! 僕の力をもってすれば、魔王軍など取るに足らないのだからな!」


 突然おかしなことを言いだした。

 騎士団長が動揺している所を見ると、おそらくミゲルの独りの意見なのだろう。

 冒険者たちがざわつき始める。


「何言ってんだ? あの白いの……」

「支援要請してきたのはそっちだろ?」


 当然の反応だろう。

 ただ、ミゲルは止まることなく――


「僕の負担を減らそうという陛下の心遣いには感謝する……だが、君たちのように野蛮で汚い者たちの手を借りるなど、不本意でならない。せめて足手まといにならないようにはしてくれ」


 と言い放ち、馬鹿にするような笑みを浮かべてミゲルは去っていく。

 その直後の冒険者たちは……


「……は?」

「何だあいつえらっそうに言いやがって!」


 ここまで予想通り。

 ミゲルのことだから、余計なことを言うだろうとは思っていた。


「つーか誰だよあれ!」


 すみません。

 一応、俺の実兄なんです。


「腹立つな~ どさくさに紛れて後ろから攻撃してやろうかな」

「やめとけよ。国家権力とかで潰されるぞ? ていうかダッサい鎧だな~」


 それは俺も思いました。

 奇麗な鎧だけど、奇麗すぎて素人感が否めない。

 あと普通に光が反射して眩しい。


「お変わりないようですね」

「ああ……できれば変わっててほしかったよ」


 無理だとは思うけど。

 そんなことをしていると、パンと大きな音が鳴り響く。

 モンスター接近の合図だ。

 さっきまでざわついていた冒険者たちは、その知らせを聞いて目の色を変える。


「俺たちも行くぞ」


 なるべくミゲルから離れた場所に行く。

 集団をスルスルっと抜けて、一番右端にたどり着いた。

 即席の壁の隙間から、渓谷が見下ろせる。

 渓谷から草原に続く坂には、すでにびっしりとモンスターの群れが集まっていた。


「開戦だ! 皆かかれー!」


 合図が響く。

 一斉に放たれた砲撃で、第一陣のモンスターは半滅。

 残りが坂を上り、草原へと侵攻する。


「いっくよー! ヴォルカニックファイアー!」


 ユミルの炎魔法が炸裂する。

 業火に焼かれるモンスターと、回避した一部が迫る。


「グレン殿!」

「ああ!」


 リガルドとグレンが前に出る。

 アックスと刀でモンスターを斬り、粉砕して戦う。

 シトナが笛の旋律で攻撃を強化し、敵の攻撃を弱体化させているから、難なく倒すことが出来ている。

 加えてミアリスの召喚獣が二人を援護し、華麗な連携を見せていた。


「アカツキちゃんお願い!」

「はい!」


 その隙にアカツキがユミルの魔力を回復させる。

 彼女たちの護衛は、クロエが務める。

 錬金したナイフを投げ、近づいてきたモンスターは斬り倒す。

 

 そして俺は――


「剣の丘よ」


 剣を地面に突き刺すと、地面から次々に刃が飛び出る。

 剣山はモンスターの群れまで伸びて、問答無用に突き刺していく。


「さて、ほどほどに暴れようか」


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少しでも面白いと思ったら、評価を頂けると嬉しいです。


☆☆☆☆☆⇒★★★★★


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― 新着の感想 ―
[一言] 愚系兄ゴミ勇者(笑い)しゃべりかムカつくので顔にきづの一つやふたつてを滑らせてモンスター倒す次いでにつけても良いかも!
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