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TS転生したから野球で無双する  作者: インスタント脳味噌汁大好き


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第253話 綱渡り

7回表は新開さんがマウンドに登るけど、彼女の球はまだアメリカに通用するレベルじゃない。そんなことは、分かっているはず。だけど切る札は、これしか無かった。友理さんの続投よりも、新開さんの方がマシだと岡沢監督は判断したんじゃないかな。


先頭バッターからヒットを打たれ、連打を浴びる新開さんは、ワンナウト満塁のピンチを迎える。もう1点も与えたくない状況で、打球はライトに飛んだ。


……ライトへの犠牲フライになって、アメリカは5点目を獲得。同点になってなおもツーアウトランナー1塁3塁という場面で、新開さんは私と交代することになった。


「3イニング、持つのか?」

「3イニング持つか持たないかの話より、抑えられるかどうかの方が問題だと思いますよ。

アメリカ代表に140キロのストレートは、通用しないですから」


篠宮先輩と軽く話して、バッターと向き合う。アメリカ代表は全員が強いし、速い球には慣れている。それなら私は、極力球速を落として投げるべきだろうね。


「……大阪桐正戦で投げた、遅いストレートの再現をします」

「あの投げ方は、スタミナが切れてからじゃないと投げられないとか言ってなかったか?」

「何だかんだ言って、私も疲労は溜まっているということです。というか全力で速度を出す投球は、もう2イニングも持ちませんよ。甲子園にも出て、U-18W杯は予選から全試合に出場して、ずっとマークをされ続けていたんですから」


私は甲子園の大阪桐正戦で投げた遅いスピンの効いた球を、意図的に投げることにする。私のストレートは、速度が遅いほど普通のストレートではなくなる。全力投球をして、かつ速度が遅い球なんて疲れている時しか投げられないけど、ちょうど今がその疲れている時だ。


……あとアウト7個。相手打線が2巡目に入らなければ、何とかなるはず。


ここで代打を出して来たアメリカだけど、速い球に強いバッターを出して来たはず。投球練習では、130キロ後半の球を投げ続けて極力スタミナは減らした。だからこそ、遅いストレートは通用するはず。


初球、縦のスライダーを投げて空振りを誘い、カウント0-1となって2球目。私は120キロのストレートを投げて、相手のバッターのバットは空を切る。やっぱり、良い感じに通用しそうだね。


相手は恐らくだけど、私が大阪桐正を相手にこの球で凡退の山を築いたことを知らない。ベンチから見れば、横の変化球か何かに空振りしたように見える。対策を打たれる前に、とりあえずはこのピンチを切り抜けてしまおう。


相手が混乱している内に、同じ球速の高速シュートを投げて相手を詰まらせる。想定通り相手は打ち損じて、ショートゴロに倒れた。……これで、さっきの2球目が変化球だったと思い込んでくれるとこちらとしては嬉しいかな。


7回裏は相手のアンダースローの投手が続投してきて、日本代表の8番9番1番は三者凡退。今日の試合は、1番から3番の上位打線があまり打って無いから大量得点が出来ていないんだよね。いやまあ、そう簡単にヒットを打てる投手が投げて来ないから仕方ないけど。


特にあのアンダースローの投手は、アメリカでも屈指のリリーフピッチャーだと思う。左のアンダースローであれだけの変化球を投げられると、普通の高校生では太刀打ちできない。


8回表は、アメリカも上位打線に回る。9番からの打順だけど、また代打ということはこの回で点を入れる算段だね。あの足が速い1番バッターが塁に出ると面倒だし、この回は警戒して行かないといけない。


と言っても、私は遅いストレートが中心のピッチングになる。初球から120キロ台前半の球を投げ続けて、カウントは1-2と追い込んだ。


球場は、少し騒めいている。カノンの球速が遅いから、故障か何かを疑っているんじゃないかな。そしてアメリカ代表のベンチは、焦り始めている感じだ。この代打で出て来たバッターは、それなりに期待をされていたらしい。


それでもDHよりかは確実に格下のバッターだし、ラストは110キロ台後半の球を打ち上げた。打球はピッチャーフライになってワンナウト。続く1番はセーフティバントを仕掛けて来たけど、小フライになった打球を私が処理をしてツーアウト。


途中出場をしている2番は、三振でスリーアウトチェンジ。最終回でクリーンナップに回るのは嫌な感じだけど、その前にこの回で点が取れるかな。


8回裏は2番の裕香ちゃんから。3イニング目に入って、疲れが見え始めたアンダースローのナックルボーラーのストレートを弾き返してツーベースヒットになる。山村さんが送って、ワンナウトランナー3塁で私の打席に。


……確かアメリカ代表の監督は、カノンの対抗手段はあると言っていたんだよね。それがこの投手だという確証は無いけど、ここで交代をして来ない辺り、この投手以上に厄介なボールを投げる投手はいないはず。


裕香ちゃんは、極力リードを広くとって私のサポートをしてくれている。左投手だと3塁方向は見えないからそこまで大きな影響はないけど、それでもサポートしてくれるのは嬉しい。


さあ、ラストバトルだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] アメリカ監督「日本がこんな魔球を隠してたなんて・・・知らなかった。」 岡沢監督「私も知らなかった。」
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