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TS転生したから野球で無双する  作者: インスタント脳味噌汁大好き


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第224話 疑惑

タイとの首位対決は4回裏を迎えて、現在6対0と日本が大差を付けている。そして友理さんは今、完全試合中だ。


『あれ、何かボールに塗ったりしてないよね?』

『ピンポン玉より曲がるんじゃない?あり得ないんだけど』


タイの選手達はタイ語を喋っているので、友理さんを見て何と言っているのかは分からないけど、とにかく驚愕していることは分かる。


凄まじい勢いで曲がるスライダーに、タイの打線はバットにボールを当てられてない。恐らく、甲子園の時とはボールが違うせいで、今まで以上に友理さんのスライダーは曲がっているのだと思う。バックで見ていても、恐ろしいぐらいに曲がってるね。


しかし4回裏になって2巡目に入ると、タイ打線はボール球を振らなくなった。友理さんのスライダーは曲がり過ぎるせいで、上手く枠内を捉えられていない。変化量が減って、打たれて苦しむ投手ならよくいるんだけど、その逆バージョンだね。


1番バッターを四球で歩かせてしまうと、即座に相手は盗塁を仕掛けて来た。友理さんは直球が早くて、篠宮先輩の肩も強い方だけど、判定はセーフ。続く2番バッターは三振に打ち取るも、3番を再度四球で歩かせてしまい、ワンナウトランナー1塁2塁でタイの4番を迎える。


ここまでノーヒットな以上、代えるのは難しいけど、打たれそうだ。そう思ったら、浮いた直球を狙われて、打球がライトスタンドに入った。……6対3と、詰め寄られた形だね。


DH制だから、投手は悪いと思った時点で代えるべきだ。対策を取られ始めた以上、中継ぎに代えたい。それでも岡沢監督は友理さんを代えずに、そのまま続投させる。履陰社の浦田さんが準備しているけど、代えないなら代えないで理由があるのかな。


その後はチェンジアップと縦スラを軸に後続を抑えたけど、スライダーはほとんどがボール球になってしまうから投げられない、となると友理さんは苦しい。代表合宿に参加出来ていれば調整は出来たはずだけど、友理さんは追加メンバーだし、調整し切れて無かった。


まるで重力が働いたかのように横に落ちるから、友理さんはコントロールも良い投手だけど、コントロールし切れて無いね。調子も悪いみたいだし、球数も嵩んでいるから、5回になったら交代かな?


5回表は私の第3打席からだけど、ここで投手が代わる。先発の速球派左腕から、データのない遅い右投げのピッチャーに代わった。


……ぜえったい初見の変化球が来るじゃん。残念なことに私は人間を辞めたつもりはないから、初見の変化球を芯で捉えることは難しい。同じスライダーという球種でも、それは投げる人によって千差万別の変化球になる。


だからこそカットして球筋を見極めたいけど、あまりカットし過ぎても今度は待球かと揶揄されるのであまりカットで逃げることも出来ない。そしてここで、採血が入る。


……あまりに私が打ち過ぎるから、薬物の使用を疑われたんだよね。当然といえば当然の流れで、薬物の専門家などもこの件で自論を述べている。「薬物を魔法の粉扱いしないでくれ。薬物を使えば、あれだけ打てるようになるという認識は誤解だ」と。


少し前、アジア予選で猛威を奮った中国人が居た。その人はアジア予選の11戦で12本というホームランを打ち、打率は7割に近かった。しかしその後の調べで彼女は薬物を使用していたことが判明し、中国の順位をどうするかという話し合いも行なわれたのだ。


結局、その当時は中国のチームがそのままアジア予選を通過したけど、これがきっかけで薬物に対する規制強化も行なわれた。そもそも薬物を使って無効になった記録が11試合で12本塁打、打率7割。有効な記録だと11試合で7本塁打となる。


それを5試合目で12本と軽々しく超えてしまった打率10割バッターだから、薬物検査を受ける対象にはなる。こればかりは、疑う人が出て来るのも仕方ない。


問題はその時と場所で、既存の検査方法では検出出来ない薬物なら、試合中に使ってなかった場合は検査で出て来ない可能性もある。だから予告で日時を明示していれば、避けることも可能になるかもしれない。というわけで大会本部からは大会3日目が終わった後で、今後のアジア予選の試合中に抜き打ち検査を行なうとだけ通知はされていた。


少量の血液を、打席に向かう前に抜き取られる。あと髪の毛を確保され、尿も持って行かれた。今日は第1打席に先制のスリーランを打った後、第2打席でもタイムリーツーベースを打っているから、打率10割は継続中。ただやっぱり、採血後に調子を上げろと言われても難しい物がある。


回頭だし、薬物検査のタイミング的には都合が良かったのかな。これで打てなかったらまた何か言われそうだと思いつつ、初球のカットボールをファールにする。カットボールが120キロは、タイの選手にしても遅めだ。何かあると思った2球目。先ほどよりも曲がるカットボールを投げられ、バットの芯を外す。


流した形になり、打球は右中間を割った。若干引っ張り寄りのシフトを敷いていたタイの守備陣は不意を突かれ、私は3塁に到達する。


その後、本城さんのヒットや内河さんの犠牲フライもあり、日本代表は2点の追加点を得た。試合は8対3で、5回裏を迎える。

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