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第163話 全日本高校選手権大会南神奈川県予選開会式

いよいよ2年目の夏の大会の開会式を迎え、入場前に1軍メンバーを集めて点呼をとっていると、周囲から視線を集める。1年生が11人もベンチに入っているから、湘東学園に入れば良かったと思う人も多いのかな。


背番号に関して、私は去年からずっと変わらずに8番のまま。上級生組で、背番号が変わったのは優紀ちゃんや久美ちゃんぐらいかな?



1番 西野 優紀

2番 梅村 詩野

3番 本城 友樹

4番 鳥本 奈織

5番 木南 聖

6番 鳥本 美織

7番 伊藤 真凡

8番 実松 奏音

9番 江渕 智賀

10番 春谷 久美

11番 島谷 浩美

12番 宮守 瑞輝

13番 坂上 清香

14番 原田 文華(ふみか)

15番 井原 美琴

16番 熊川 茉莉

17番 関口 賢美

18番 勝本 光月

19番 中谷 雅子

20番 高谷 俊江



湘東学園のベンチメンバーの背番号は投手、捕手、内野手、外野手という順番に並ぶので、背番号が若いほど野球の上手い選手という訳ではない。他の強豪校だと10番が第2先発で、11番から19番までがそれぞれのポジションの控え、みたいなパターンもあるけど、湘東学園はちょっと違うね。


「真凡ちゃんと詩野ちゃんが、単独行動してるね」

「上が居ないと、フリーダムになる典型的な例だね。3年生組は遅れてるし……。真凡ちゃんは去年も単独行動して、大槻さんに喧嘩売ってたらしいから、探しに行って来るよ」

「……私も、飲み物買って来て良い?」

「優紀ちゃんまで居なくなると収拾がつかなくなるから駄目。久美ちゃんと智賀ちゃんは、優紀ちゃんと1年生を見張っておいて」


今年は入場まで時間があるので、少しは他校の雰囲気とかを視察とか出来るね。去年は3番だったから、入場前の雰囲気とかをあまり味わえなかった。今年は北神奈川の高校が先に入場することになって、ラッキーだったね。


トイレに行って来ると言い、去年と同じように単独行動を始めた真凡ちゃんと詩野ちゃんを探しに行くと、思いの外すぐに見つかった。2人は一緒に居て、話している相手は向中高校の千野さんかな。確か詩野ちゃんとガールズ時代にバッテリーを組んでいた子で、私達とも秋の県大会で対戦経験がある。


向中高校も北神奈川なので、今年の夏に対戦することは無いだろうけど、県予選はある程度勝ち進める実力のある高校だね。向中高校は今年の春の県大会で横浜高校に負けてノーシードになってしまったから、向中高校は3回戦で東洋大相模と対戦する位置だ。


秋の県大会で湘東学園と、12対13という試合をしたのは憶えている。速球を打つのが得意なチームという特色のある高校なので、選抜ベスト8だった東洋大相模との試合は良い試合になりそう。


「えっと、千野さんだよね?」

「うぇえ!?、カノンさん?あの、あの、あの試合は申し訳ありませんでした!!」


千野さんに話しかけると、凄い勢いで謝り始めたので、何かあったのか思い出したいけどたぶん忘れている。乱打戦ではあったけど、向こうが謝るようなことは無かったような……?


「何かあったっけ?」

「カノンに対して満塁敬遠、千野ちゃんもやったでしょ?その後で本城先輩がタイムリースリーベースを打ったから、許されてる感じはしているけど、気にしているみたい」

「……あぁ!同点になる満塁敬遠だったね。特に敬遠に対しては怒りとか感じないから、別に謝らなくて良かったのに」

「……さっきも言ったけど、カノンは満塁敬遠をされ過ぎていてもう憶えてないような状態になってるし、千野ちゃんは気にしなくて良いからね?じゃ、お互いに頑張ろうね」


詩野ちゃんに具体的な場面を言われて、ハッと思い出す。あの試合はシーソーゲームで、千野ちゃんに私は満塁敬遠を受けたのか。まあ、ワンナウト満塁という場面で私とは勝負したくないよね。投手として、あの場面で私を迎えたとしたら敬遠するか悩むぐらいだし。


お互いに頑張ろうねと言い合って、湘東学園のグループに戻る。寮に入っていない3年生組も到着していたので、整列をして入場準備。私達は南神奈川で1番最初に入るから、結構目立つかもね。


私達が入場してから後ろに98校もあるから、1年生達は大丈夫かな?去年は後ろに184校もあったから長かったけど、98校でも十分に長い。せっかく分けたんだから、開会式も別にやったら良いのに。


「今年は去年より涼しいから、まだマシね。あの時はわりと地獄だったし、カノンも嫌そうな顔をしていたわよね?」

「顔に出てたっけ?まあ、炎天下で他校が入場してくるのをずっと待つのは嫌だよね。だけど今年は時期が少し早いから、まだマシだと思いたいよ」

「今年は20人いるので、変に目立ってませんね。……それでも、他校の方が多く感じるのは何故でしょう?」

「3年生が20人いるチームと、1年生が11人もいる20人のチームだと感覚は違うよ。やっぱり1年生は、身体の線が細い子も多いからね」


真凡ちゃんや智賀ちゃんと話をしていると、開会式が終わる。……2年目の、夏の県予選が始まった。

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