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だんご

作者: 音澤 煙管



必ず帰って来ると信じていた…

親が居なくて今日で一週間。


姉が居るから生活には不自由していないけど、子どもながらに何か物足りないと思う様になる。静けさをテレビを観て紛らわす、あ!そう言えば…ふと思う。


学校の家庭科の授業で習った白玉団子を思い出す、ケーキより和菓子が好きだから買うより作ってみようーと、自分家で作ってみる。


近所に小さなスーパーがある、そこで材料を揃えよう。手紙と一緒に置いてあった、五百円札を片手に家を出る。スーパーまでは誘惑だらけだ、普通に行けば10分くらい。

だけどそこは子どもだから道草名人で、行き帰りで1時間かかった。


寄り道過ぎて歩き疲れて一息つく。

テレビを観るけど目的があった事を思い出す。

あ、そうだ!団子作んなきゃ…

台所へ向かい、買い物袋をゴソゴソと白玉粉の裏にも作り方が書いてあるからどれどれぇと解読中。


ボールとかき混ぜ道具、白玉粉を開封するとひと時の忍者気分。煙の中でシャカシャカと水を足してかき混ぜる。

少し時間を置く間、アルミ鍋にも水を張りコンロに置いて火を点ける、

またボールの中をシャカシャカする、木工用ボンドみたいになってきた。


かき混ぜてゆくと、段々と粘りが出てくる。手に取れるくらいになって、一つ一つまな板に掌で丸めて並べてゆく。20個くらい出来たかな?

お鍋の水もお湯に変わってきた、沸騰と言うものを目の前に丸めた団子を投入中。


授業でも教わった、沈んでいたのが浮いてくる、そうなればお湯から出して水を切る。あっと言う間に出来上がった!


あんこを付けて食べたかったけど、手にしたお札に断られたから、今日はきな粉を買って我慢する。お皿にきな粉をまぶしてその上に団子をのせる…

初めて自作の白玉団子。


あの味は忘れることは無いだろう、

団子を食べ終わった頃に陽も暮れてそろそろ年の離れた姉も帰ってくる。姉にも作っておいたから、あとで味見をしてもらおうー


独りの家庭科授業にベルが鳴る、片付けしてると姉が帰宅して食べて貰う。

不味いとは言わなかった、食べながら違う話をし出した。来週は親が帰ってくるけどそのまま学校へ一緒に行かなくてはいけなくなった。

また、転校らしい…

これで生涯5度目になる。


"また違う土地の学校で、友達何人出来るだろうか?"


姉が食べ残した白玉団子、残りの一つ食べながらそう思った。





おわり



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