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41.明日
歪な形の宇宙戦の模型が飾られていた。
芸術家が展覧会の前夜に徹夜で作ったみたいな流体的で左右非対称なデザインは、どうにも形容に困る。
冷凍庫の中で水をぶちまけたらこんな風に凍るかもしれない。
「これは?」
「“明日”という名前の宇宙船です。外宇宙探査用の船で、理論上は補給がなくても無限に航行することが可能だったそうです」
「無限に?」
「この船は、いくつもの革新的な技術の結晶です。人の英知の最果てと言ってもいいかもしれません。対惑星砲のメカニズムを元に、“流れ星”のデータ、“SUPER OMEGA MAX”の希少金属、完成した“Paradox”の動力炉、“パンドラ”の生命維持システムなどが多数複合されています」
「旅は成功したのか?」
「この船は、我々の銀河から手の届かないところまで飛んでいきました。最後に届いたメッセージは『祝杯』だったらしいですが、その先は――神のみぞ知る、でしょうか?」