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34.彼岸花は墓所に咲く
「“死の花シリーズ”最終作、“彼岸花”です」
最後のは赤かった。
背中には、例の剣と長いライフル。
嫌な予感がする。
「これは?」
「見てのとおりですね。『遠距離と近距離を合体させたら強いんじゃないか?』と」
「そんなわけないだろ」
どう見てもどちらかが邪魔である。
「近接戦闘機として運用された場合は狙撃銃がデッドウェイトになり、狙撃用として運用された場合は剣の方がお荷物になってしまいました」
そりゃそうだ。
「機体性能も、“桜花”の拡張性の無さと“紫陽花”の脆弱性を併せ持つ残念機体になってしまいました。“紫陽花”の下位互換だとも言われていますね。近接戦闘を多少視野に入れたせいで、射撃の出力も落ちて射程が短くなってしまっています」
散々だった。
「いいところは?」
「一部のマニアとお子さんに人気です」