2.SUPER OMEGA MAX
「今度のはでっかいな」
吹き抜けの広間のエリアに、25メートル以上はあるロボットが鎮座していた。
銀河大戦には多くの大型ロボットが投入されたが、基本的には10メートル級の機体ばかりだったはずだ。
「これはSUPER OMEGA MAXです」
「なんて?」
「すーぱーおめがまっくす」
展示パネルにもSUPER OMEGA MAXとあった。
どうやら冗談では無いらしい。
「“SUPER OMEGA MAX”は、銀河大戦の中期、ある小さなコロニー国家が秘密裏に完成させた機体です」
「聞いたことないな」
「“SUPER OMEGA MAX”は、文字通りのワンオフ機です。整備パーツや補給パーツ含めて予備機は存在しません」
「なんで?」
「資材不足と言われています。この機体は全身が超希少金属で出来ているので」
「試作機だったのか? 」
「いいえ。実戦での運用を想定して開発され、実際に主戦力として活躍しました」
「武装は?」
「ロケットパンチです」
「なんて?」
「ろけっとぱんち」
展示パネルにも『ロケットパンチ!』と派手なフォントで書いてある。
冗談ではないらしい。
「ロストテクノロジーの塊で、再現性は皆無だったとか」
「壊れたらどうするんだ?」
「壊れません」
「壊れません?」
「一度敵対国家にパイロットごと鹵獲されましたが、あらゆる方法を試しても装甲には傷一つつかなかったそうです」
「めちゃくちゃ強かったんだな」
「無敵の強さだったと記録にはあります」
「で、どうなったんだ?」
「運用していた国家が無くなって廃棄されました」
「なんで?」
「敗戦したので」
「こんな化け物が居たのに」
「この機体は運用コストも製作コストも莫大で、これを作成した国家はこれ以外の戦力を運用できないほどに困窮することになりました。戦闘のたびにコロニーの電力の七割を消費していたため、国民感情も最悪だったそうです」
「そりゃそうだろう」
「あ、でも、一部の男性と子供たちには大人気だったそうですよ」
それもまあそうかもしれない。
「この機体そのものは無敗のままでしたが、運用上の問題が余りに多すぎたこの機体を持て余し、最終的にコロニー国家は崩壊することになりました。この機体に国家予算の4割が注がれていたという資料も残っています」
夢と浪漫が詰まっている。
案外嫌いではない。
かも。