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銀河歴1234年珍兵器博物館  作者: まいまい
銀河歴1234年珍兵器博物館
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24.sins

広間に鎮座したロボットの背部には、見慣れないカートリッジが連なっていた。

カートリッジ式の動力エネルギーなのか、あるいは冷却剤か何かだろうか?

「“sins”の特徴は、外観から一目見て分かる背中の動力カートリッジです。この機体は、『人間の生命エネルギー』を動力源にしていました」

「生命エネルギーって?」

「そのままの意味です。人が生み出す熱、感情、体液に至るまでをエネルギーに変換する特異なシステムが搭載されていました。特に感情の起伏に激しくエネルギーに溢れる十代の男女は有用な動力として扱われたそうです。平均的な駆動時間は、『カートリッジ』一つにつき一時間」

「じゃあ、あれの中身は」

「はい。カートリッジは簡易な生命維持カプセルを兼ねており、意識がある状態の人間をそのまま搭載していました。使用済みになった……内蔵していた人間が死亡したカートリッジは、薬莢のように自動的に機体から排出されます」

「恐ろしいな……」

「戦場の与える強いストレスは『電源』の感情の起伏を激しくし、この機体は想定を上回る戦果を挙げました。本機は終戦までに、記録されているだけで同型の機体が30、カートリッジは1200ほどが生産されています」

「最後は?」

「戦争は消耗戦にもつれ込み、カートリッジを使い果たしたこれらの機体群はパイロットを動力にしながら戦闘を続行、帰還した機体は無かったとのことです。この機体は、半壊状態でデブリに混じって宇宙を漂っていたものを当館のスタッフが修復したものになります。背部のカートリッジはデータから外観を再現しただけのレプリカですが」

ロボットの足元、背部のカートリッジと同じものが一つ置かれていた。

少女がカートリッジについていたパネルを操作すると、ゆっくりとそれが開いていく。

円柱状の棺桶だった。

中には確かに、人が一人ぎりぎり入れる程度のスペースが空いている。

「入ってみますか?記念撮影も受け付けてますよ」

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