とりあえず!...逃げる マジで。
やっぱり、アルク影薄すぎですねぇww
あの化け物たちの襲来から、一週間が経った。
化け物は案の定“魔物”と呼ばれ、周辺地域の住民に緊急避難警報が出された。だけど魔物は、襲った私たちの街から一歩も出なかった。しかも、街を自分たちの住処にし始めたのだ。
そして私は、この戦いで魔物を一匹倒して念願のロボットパイロットデビューを果たした。
(えっ?一匹だけかよ、普通初陣って3匹ぐらい倒すだろって、うるさーい!それには理由があるの!)
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奈兎羽、魔物撃破後
「すッ...凄い、ホントに撃てちゃったよ」
『当たり前ですわ!!このわたくしは、嘘などつきませんから!』
私は今の状況に感動しすぎて逆に騒げなかった、
だがそのおかげで思い出した事があった。
「あっ!そういえば、アルクのこと忘れてた!!」
アルクが後ろに居たことを思い出した私は、慌てて後ろを確認した。
「ごめん、アルク!大丈夫?怪我とか、ない?」
そう聞くとアルクは、驚きを通り越して笑顔で頷いた。
とりあえず私は安心した。いや、安心していいかはさておき、「アルリードの足で潰してました!」よりはマシだ。
だが、アルリードが変なことを言い出した。
『安心してるところ悪いのだけど...奈兎羽、すぐに私から降りた方がいいですわよ?』
「はっ?どういう事、それ?」
『理由を聞く前に、早く降りるのですわ』
アルリードは少し不気味に笑った。
なんとなく嫌な予感がしたので、とりあえず私はアルリードに従ってコックピットから降りることにした。すると、
「ナッ!ナナナナナナトハ!早く、降りるんだ!!!」
私がゆっくりと降りていると、アルクが叫びながら私の後ろの方を指を差していた。私が後ろを見ると、
「噓ッ!アルリード消えかかってるじゃん!?」
なんと、アルリードが頭の方から透けてきていたのだ。
「ヤバイなんかヤバイ!」と、思った私は急いで降りたが、
「あっ、」
私は、消えるのに間に合わず、思いっ切り顔から地面にダイブした
(痛い...凄く痛い。)
『だから言ったのですわ!早く降りろと』
「そんなこと言ったって、消えるの早すぎでしょ!あと、木の枝で腰を突くなっ!!」
私が怒鳴りながら起き上がると、?
そこには、あの無骨なデカいロボットがいなくなった替わりに、可憐で華奢なツインテールの少女がかなーりウザイ顔でこっちを見ていた。
『その「どちら様ですか?」みたいな顔は、なんですの?』
「いや、どちら様ですか!?私はこんな可愛い(ウザイ)美少女知らないよ!?」
その美少女は、見下した顔で衝撃なことを言った。
『何言ってますの?わたくしは、貴女の大好きな“ルテナ”様に決まっていますでしょ!』
「.........ルテナ?って、アニメ騎士人形アルテミスに出てくる量産機、アルテミスシリーズに搭載の専用AI、“アーク”をアルリード用に改造した特殊高性能AI、っていう設定を私が付けたやつじゃねえか!!」
『その通りですわ!...と、言いたいところですけど少し違うのですわ!
まぁ、その話はあそこで観ている魔物から逃げてからにするのですわ...』
「はっ?...今、なんて言った?」
[ウガアアアアアアアア]
ルテナに言われて気付いたときには、もう魔物がこちらに向かって来ていた。
「ちょちょちょちょっと!!?なんでそれを早く言わないの!!アルク、早く立って逃げるよ!?」
「あ、あぁ、分かった」
私達は必死に逃げた。途中、アルクは壊れていく日常を目の当たりにして...いや、言うのはやめておこうかな、アルクも男だからね。
不幸中の幸い、追いかけて来た魔物は、足が遅かったから助かった。
避難先には私の親もいてひとまず安心した。だがそこにはアルクの両親の姿は見えなかった。
その後、私たちは安全な別荘に移り住みアルクと...もう一人も今は一緒に住んでいる。
~別荘~ 現在
(と、まぁこんなことがあったから、1匹なの!...でも、魔物は、居ない方が良いということが身をもって知ったなぁ~
やっぱり最初は「魔物とか最高じゃん!」とか思ったよ...でも、異世界とは言え18年間も住んだ第二の故郷を、こんな風されるとね...駆逐もしたくなるアニメの主人公の気持ちがわかったわ...)
『コラ、奈兎羽!わたくしは紅茶を頼んだのですよ!早く持ってくるのですわ!!』
「ちょっと待ってよ、ルテナ!」
(そして、ソファーに足を組んで紅茶を要求してくるそこのツインテールが、100%今の私の敵だ!!」
『早くするのですわ!』
「わかってるから!黙ってて~!!
あっ、そういえばなんであの時アンタ消えたりなんかしたの?」
「あぁ、あれはレールブラストを発射したからですわ。あの武装は強力すぎるからハンデですわ!」
(そういうのが、メタ発言と言うのだ!)
「それと、あの時教えてくれなかったやつは?」
「わたくしがAIじゃないことですわね?それは、神様が貴女の記憶をもとにしてわたくしを創るとき、めんどくさがってアルリードの人格ということにしてしまったのですわ...つまり、わたくしはAIではなくアルテミス・アルリードそのものになったというわけですわ」
(やっぱりあの神さま...もとい、ウザ神のせいなのね!!)
私が紅茶を入れてルテナに持っていこうとした時、部屋のドアがゆっくりと開いた。
開けたのは、
「ナトハ...少し話があるんだけど。いいかな?」
アルクだった...。
次は、アルクが重要ですよ!!