表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/29

第8話 スープの余韻はどこ行った?

伝説のスープに期待した余韻が感じられなくて。

ついつい、不満そうな顔になってしまった。


それをめざとく感じた4代目料理人が気にしている。


「なにか、問題がありますか?」

「3日後にエルフの王様に献上する料理です。もし問題があるなら教えてください」


村長からも聞かれてしまった。

ここは正直に言うしかないな。


「余韻がないんです。これだけ美味しいスープなんだから当然あるはずなんですが・・・」

「なんだと。なんだ、その余韻って言い草は!お前、人の料理に文句を言いたいだけだろう」

「いえ、そんな。美味しいのは美味しいんですが・・・」

「お前、料理人だってな。もしかして、俺の方がうまく作れると言うんじゃないか」


うーん。どうだろう。

本音を言えばできる気もする。

だけど、伝説のスープにいちゃもんつける気はないんだけどな。


「おまえ、今、俺の方がうまいの作れると、思っただろ。顔に出ているぞ」

「・・・うーん」

「否定しないな。よし、作ってみろ。いかにこのスープが大変な代物なのかは作ってみれば分かること」


そんなの分かっているって。

味が層を成して形成されている。

計算しつくされた素材の数々。

素材のタイミングだってすごく難しい。


だからこそ、余韻がないのが理解できないだけ、だって。


「あの。もしよかったら、本当に作ってみてはもらえないだろうか。必要な素材はワシの方が用意はさせていただくが」

「えっ、いいんですか、そんな。伝説のスープと対決するようなことしてしまって」

「重要なのは、エルフの王様に献上する品です。もし、問題があるなら、中止もしないといけなくなりますから」

「そうだぞ、お前。ただ、いちゃもんつけたかっただけでした、では済まされないぞ」


なんか、この料理人、むかつくな。

ただ、一子相伝のレシピをもらって、その通り作っているだけじゃないか。

偉いのは、お前じゃなくて、ひい爺ちゃんだろう。


「それでは、参考の為に僕のスープも味わってもらいたいと思います」

「言ったな、おまえ。伝説のスープに対する挑戦状だぞ、それは」

「そういうんじゃなくて・・・」

「わかりました。4代目調理人と旅人調理人のスープ対決という形でやりました。期日は明日のこの時間で」

「わかりました。やりましょう」

「吠え面かくなよ。審査員は村長ほか4人の村の重鎮達だ。逃げるなよ」


うーん。逃げたくなってきた。

だいたい、その人たちの舌、大丈夫なのだろうか。

余韻って分かるのかな。


翌日。


徹夜で、僕の舌で分析した伝説のスープのレシピを書き上げた。

さすがに、レシピを見せてくれともいえないから、スープだけを小鍋にいっぱいもらってきた。


あと、ちょっと大きめの厨房を借りた。

村のパーティ用のとこらしい。


レシピを書き上げるために、いろいろと実験もした。


実は錬金料理には、いろんな便利な道具もあるんだ。

今回活躍したのは、魔素センサー。


料理に含まれる火、水、気、土の4元魔素の濃度が分かる。

そこから、スープに含まれる素材を類推してみた。


錬金料理人だから、できるレシピ診断だね。


後は、午前中にレシピ通りのスープを作ればいい。


おっと間違った。同じじゃダメなんだ。ちゃんと余韻が残る様にする。

そこが大切なことだね。


だけど、だいたい予想はついているんだ。

余韻が消えてしまった意味が。


そこを対応することができるかが、今回の対決の勝敗を分けるということだ。


楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。

ブクマや評価もよろしくです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ